Interview

ニコンの技術力が生み出す、
人々の健康を支えるソリューション

光学機器メーカーとして事業領域を拡大し、100年の歴史を歩んできた株式会社ニコン。幅広い事業を手がける同社において、高い市場ニーズを持つのがヘルスケア事業部です。「ニコン=ヘルスケアの会社」というブランドイメージを定着させるべく、顕微鏡を主軸とした新たな価値創出に挑み、新規事業立ち上げなどチャレンジングな取り組みを行う同事業部。そこで働く魅力や事業の未来像などについて、事業部長の山口達也氏と現場で活躍するメンバーにお話を伺いました。

出典:ビズリーチ 公募ページ「株式会社ニコン」(2023年4月27日公開)より転載

#01

高度な技術を基盤に医療現場・
患者様の課題に挑むヘルスケア事業部

執行役員 ヘルスケア事業部 事業部長/山口 達也

ニコンのヘルスケア事業部の概要についてお聞かせください。

ニコンのヘルスケア事業部は、2017年6月に設立した若い事業部です。しかし、中期経営計画において「2025年までに新たな価値を創造し、ソリューションの提供を通じた収益拡大」が期待されている将来性の高い事業部でもあります。

ヘルスケア領域は事業領域の裾野の広さから、近年さまざまな企業が業種を超えて新規事業として立ち上げを試みています。そのなかでも当社の大きな特徴は、長い歴史のなかで培われた技術力とブランド力を生かした「3つのソリューション軸」を持っていることです。

当社の顕微鏡事業は、1925年に初号機を発売しもうすぐ100周年を迎えます。これまでハードウエアに強みを持つ企業としてのブランド力を高めてきましたが、近年は画像解析や画像評価などのソフトウエア分野で高い価値を提供するソリューション事業に軸足を移しています。今後当社は、ハードウエアとソフトウエア双方の観点から企業のニーズに応えるソリューションを提案していくことを強みとする企業へと進化していきたいと考えています。

「3つのソリューション軸」について詳しくお聞かせください。

1つ目は「ライフサイエンスソリューション」で、顕微鏡技術によるバイオサイエンス研究や創薬分野に貢献しています。世界4大顕微鏡メーカーの一社である当社は、これまでハイエンドな顕微鏡の提供とソリューション提案を通じ、研究・創薬領域、特に大学研究機関などのお客様から高い評価を得てきました。それに加え、近年は新たな薬の開発や不妊治療における体外受精など、より具体的に社会に貢献できる分野へ活動領域を広げています。

2つ目に「アイケアソリューション」です。当社は2015年に買収した英国Optos社と共に、「網膜の表面を診断する眼底カメラ」と「眼底の深部を診断するOCT(光干渉断層計)」の2つの機器を手掛けています。眼底の約8割を高速、非侵襲で診断できる高い技術力を生かして、疾患の早期発見・診断の普及に努めています。この技術は医療機関における網膜診断を効率化し、長時間の検査による患者様のストレスを軽減するだけでなく、デジタルデバイスの普及によって急増している若年層の眼科疾患の発見にも寄与します。

3つ目は「細胞受託生産ソリューション」です。薬や手術、放射線といった従来の治療の手法に加え、細胞による再生医療の分野が注目されています。私たちは再生医療用細胞や遺伝子治療用細胞の受託開発・生産の事業化に挑んでいますが、現時点ではこの領域は黎明期です。手の届く近い将来において、細胞治療が難病や免疫不全に苦しむ患者様にとって画期的な治療方法になると確信しています。

世界的ブランド「ニコン」の
未来を紡ぐ新事業部をけん引する

今後の事業展望についてはどのようにお考えでしょうか。

私たちは患者様が最先端の医療を安定的に受けられる環境を作ることを目的に、技術やアプリケーションの開発を進めています。

経営観点では、足元では継続的な成長が期待できるライフサイエンスソリューションと市場シェアの高いアイケアソリューションが成長の基盤となります。一方、細胞受託生産ソリューションは医療認証の厳格なプロセスがあり、着実にステップを踏みながら進めていきます。

そのため、前者2つの既存事業で得た収益を細胞受託生産ソリューションに投資し、新たな価値創出と事業成長の両輪を目指します。

ヘルスケア事業の海外売上比率は約9割となり、海外展開が加速しています。ライフサイエンスソリューションでは、日本の湘南に加えて米国(ボストン)と欧州(オランダのライデン)に創薬の拠点を開設しました。特にボストンは世界をリードする創薬企業が集まるエリアです。これらの拠点を活用することで、海外の創薬企業やバイオベンチャーとの強力なネットワーク作りを進めています。

今ニコンのヘルスケア事業部に加わる魅力は何でしょうか。

ヘルスケア事業部は新規事業の立ち上げフェーズにあるので、固定観念にとらわれずフレキシブルに動けるところが最大の特徴です。また、大きな企業ならではの資金力や豊富な人材を生かして、事業のスタートアップにチャレンジできる恵まれた環境にあります。

今回、採用強化を図る「品質管理」と「アプリケーション設計」のポジションでは、ヘルスケア事業部にイノベーションを起こせる人材を求めています。

「品質管理」では、グローバル展開や今後重視される品質マネジメントシステムの開発で活躍できる経験豊かな人材を求めています。

一方の「アプリケーション設計」は、AIによる画像分析やクラウドソリューションの活用など、先端技術を取り入れながら新たな価値創出にチャレンジできる進取の精神のある方の応募に期待しています。

ヘルスケア事業部は急速に収益を拡大しており、今後とも社会貢献を通じた持続的な成長を目指します。私たちが描くゴールは、「ニコン=ヘルスケアの会社」というブランドを定着させることです。自身の専門性をより高めながら積極果敢に挑戦できる方々と共に事業成長と社会貢献にチャレンジしていきたいと考えています。

#02

製品企画からリリースまで伴走する、
ニコンの品質管理が担う役割とは

ヘルスケア事業部 品質保証部 品質管理課/千葉 裕記

千葉さんはニコンの別事業部からヘルスケア事業部へ異動されたそうですが、その経緯について教えてください。

私は生まれつき視力が弱く、幼少期、初めて手にしたメガネがニコン製のものでした。もともとヘルスケア領域やニコンに対する興味があり、大学でも医療工学を専攻していました。

その後、新卒として2014年にニコンに入社し、カメラを扱う事業部に約6年間在籍しました。ローパスフィルターやレンズなど各部品の生産技術の改善が主な仕事で、キャリアのなかでさまざまな部品を扱えましたが、やがて技術者としての軸がないことに気づき、課題を感じるようになりました。

せっかくならずっと興味を持っていたヘルスケア領域に軸を置きたいと考え、異動希望を申請できるキャリア・マッチング支援制度(社内FA制度)を利用することにしました。ヘルスケア事業部ができたのは私が入社した後だったので、新卒入社時に選べませんでしたが、キャリアを再考したタイミングでの制度活用により希望通りの異動に至りました。

ヘルスケア事業部へ異動した後の業務内容について教えてください。

顕微鏡や関連製品の品質管理を担当しています。顕微鏡を世界で販売する際、各国でクリアしなければならない安全法規制が存在します。その法規制をクリアした製品となるよう、製品を試験する計画の立案や、第三者検証を行う外部の会社とコミュニケーション、提出されたレポートのチェックなどをリードするのが主な仕事です。

品質管理は製品が出来上がった後ではなく、企画段階からさまざまなアプローチを行います。例えば「Digital Sight 50M」という顕微鏡モノクロデジタルカメラ製品は、私が出した業務改善のアイデアが盛り込まれた製品の一つです。法規制との適合と安全性の担保に加え、製品の企画プロセスから伴走することにより、費用対効果の高い安全認証の取得や認証コストの大幅な削減などを実現しています。Digital Sight 50Mは企画段階から携わった初めての製品でしたが、自分のアイデアを製品に反映できたことはうれしかったですね。

働きやすく風通しのよい組織のなかで、
世界に通用する製品を手掛ける

千葉さんが思う、ヘルスケア事業部で働く魅力について教えてください。

立ち上げから5年ほどということもあり、ヘルスケア事業部はよい意味でベンチャーや中小企業のような組織だと思います。そのため、一つの製品の企画からお客様の手に届くまでをメンバーが責任を持って担当できるのは大きな魅力だと思います。その際、世界に通用するニコンブランドの製品を手掛けられることも、やりがいにつながっています。

このような組織だからこそ、異動前に希望していた「技術者として一本軸を通す」という目的をヘルスケア事業部でかなえられたと感じています。以前は扱う部品と技術分野が1年単位で変わっていたのですが、今は顕微鏡という製品に軸足を置き、品質管理という明確な役割に沿って働けています。

他部署から異動し、ゼロから人間関係を作ることに対してはじめは不安がありました。いざ異動してみると、ベンチャーや中小企業のような風土のあるヘルスケア事業部は非常に風通しが良く、フランクで話しかけやすい人ばかりの環境であったことに救われました。今でも業務でわからないことは周囲の人に相談し、日々協力しあいながら働いています。

実際の働き方についても教えてください。

ニコンは働き方を柔軟に選べる会社だと思います。在宅勤務制度やコアタイムのないスーパーフレックスタイム勤務制度がありますので、私の場合は週2~3日、直接製品を見たほうがよい業務があるときのみ出社しています。

また、子育てなどとも両立がしやすいです。昨年子どもが生まれましたが、私は2回育休を取得しました。こういった制度活用を除いても年間休日が多いので、プライベートと両立しやすいのは、ニコンの魅力だと思います。

どのような方が、ヘルスケア事業部の品質管理にマッチすると思いますか。

法規制対応やISO認証関連の仕事をしていた方、量産品メーカーで設計などに従事していた方は、即戦力として活躍できるでしょう。技術については一定の知識があるほうが望ましいです。

一方で、顕微鏡の品質管理にはさまざまな技術領域の知識が必要なので、入社時にその全てをカバーしていることは望んでいません。入社後、積極的に学ぶ姿勢さえあれば、周囲がサポートしながら十分キャッチアップしていけると思います。

各国の法規制は次々と新しくなるので、好奇心を持ちながら臨機応変に対応していける方は、特にこの仕事に向いていると思います。また、自分の考えを製品に反映することもできるので、アイデアを積極的に出していただきたいですね。

#03

起業経験者をも魅了する、
ニコンの技術力と大規模な挑戦ができる環境

ヘルスケア事業部 技術統括部設計部 第四設計課 課長/唯木 俊秀

まず、唯木さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

修士課程を修了してニコンに入社し、主に総合病院向けの医療情報システムの開発に従事しました。開発業務以外にも納品先のお客様を訪問して生の声を聞いたりするなど、約4年半、ソフトウエアエンジニアとして充実した時間を過ごすことができました。

一通りの業務を経験できたことで、今度は一人でどこまでできるのか挑戦してみたいという思いが芽生え、思い切って独立・起業という道を選ぶことにしました。当時は携帯電話によるインターネット通信が普及し始めた頃で、その時勢に乗りつつ、自ら開発したマーケティングシステムを大企業に提供するなど貴重な経験を重ねました。

約11年間の経営を経験するなか、改めて「60歳までこの仕事を続けるのか」という自問が生まれました。自らができることの限界を痛感したからこそ、組織のなかで規模の大きな仕事がしたいという思いが再び湧いてきたのです。

そのとき、ニコン時代に親しかった先輩から、「今ニコンでソフトウエア開発に力を入れている、戻ってきてくれたらうれしい」という話を受けました。技術者同士意見を交わし、成長を実感しながら働いていたニコン時代のことを思い出し、再度入社することを決めました。

再入社後は、自動細胞培養装置の制御ソフトウエアや画像解析ソフトウエアなどの開発を担当し、4年前から現職です。

現在担当している業務内容について教えてください。

生物顕微鏡のアプリケーションソフトウエア開発と、それをコアにしたライフサイエンスソリューションをお客様に提供することが主な仕事です。

ライフサイエンスソリューションは、ハードウエアと電気、ファームウエア、そしてお客様が使うアプリケーションソフトウエアという4つの技術から構成されています。私はこのなかのアプリケーションソフトウエアを担当しており、お客様である研究者の方々が研究に資する答えを導きだしやすいよう、画像解析処理を行う際の設定や、解析を行う際の機能などを開発しています。

生物顕微鏡の観察対象は、細胞、微生物、組織、器官、生物の挙動や機能などと千差万別です。対象に応じて撮影方法や利用される技術が異なるので、製品全体においてアプリケーションソフトウエアが担う役割を各チームとすり合わせながら開発を進めています。

人類のQOL向上を支える開発現場で、
先端技術を追い求め続ける

唯木さんが思う、ヘルスケア事業部で働く魅力について教えてください。

私たちの設計部はマーケティング、営業、製造、品質管理をはじめとするさまざまな部署と連携しながら仕事を進めていく必要があります。またヘルスケア事業はグローバルに製品を展開しているため、多様な観点からビジネスを考えられ、人間的にも成長できることを実感しています。特に私は一度一人で起業した経験があるからこそ、周囲と連携することによって得られる成長を実感しやすいのかもしれません。

加えて、社内外いずれでもレベルの高い人材と共に働けることも、自身の成長を促す環境です。それぞれが専門的なスキルを持つメンバーと垣根を越えて同じ目標に向かって協力し合える日々は、魅力的だと思います。

再入社して間もない頃、共同研究先である日本人なら誰でも名を知るような海外の大学を訪れる機会がありました。その研究室の方から「ニコンのこの顕微鏡がなければ実験が成り立たない」と評価していただいたことがあります。その顕微鏡は同行したチームメンバーが開発を担当したもので、改めて自分もこういう働きをしたいと思いました。

あらゆる研究機関の研究成果をより良くする顕微鏡づくりに携わることは、その先にある人類のQOL向上に貢献できているということです。私たちの名前が表に出ることはまずありませんが、例えばノーベル賞を受賞するような研究の基盤を自分たちの製品が支えているというプライドは、やりがいにつながっていると感じます。

どのような方が、ヘルスケア事業部のアプリケーション設計者にマッチすると思いますか。

私たちの製品は極めて専門性が高い一方、製品を作る技術一つ一つにフォーカスすると、他業界で使われている汎用的な技術も多く採用されています。そのため、キャリア採用においてヘルスケアに近い領域でのスキルや経験が必ず求められているというわけではなく、むしろニコンに新しい風を吹き込み、新しい方法を提案してくださる方に来ていただきたいです。

世の中を便利にしたいという思いを強く持ち、目的に応じて柔軟に技術を習得する姿勢のある方であれば、広く歓迎します。強いて言えば、基本的なソフトウエア開発技術の他に、ライフサイエンスソリューションと親和性の高い、画像処理、大容量データハンドリング、分散並列処理などといった領域に専門性を持つ方は特に活躍できると思います。

私は、世の中の便利な技術は、最終的に顕微鏡やニコンがお客様に提供するソリューションにつながると思っています。これらを開発するにあたって、多くの課題を解決しようと考えることは、世の中そのものを便利にしたいと考えることに直結しているからです。昨今のクラウドやAIといった技術が顕微鏡の次なる進化を促しているように、今後も顕微鏡には多くの技術が取り入れられていくでしょう。そんな開発に携われることを楽しいと思える方は、ぜひご応募ください。

※社員の所属やインタビュー内容は取材当時のものです

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