Nikon’s Challenge #2

サメ肌に学んだ、
サステナブル。

サステナブルなテクノロジー:リブレット加工

精密なレーザー技術が実現する
リブレット加工

生物模倣技術(バイオミメティクス)。 自然界の驚異的な進化をお手本に、新たな技術を実現すること。ニコンが着目したのは、しなやかに大海を泳ぐサメの肌。4.5億年ともいわれるサメの歴史。それを、持続可能な未来のヒントへ。

流体の抵抗を減らす。
エネルギー効率が上がる。

ワサビをおろすのに使われるほど、ザラザラとした手ざわりの「サメ肌」。顕微鏡で観察してみると、溝のある硬くて小さなウロコに覆われていることがわかります。サメが水中を進むとき、溝が水流の乱れを抑えて摩擦抵抗を減らすため、より少ない力で、より速く泳げることも研究によって明らかになっています。

「リブレット」と呼ばれるこの微細構造。水泳選手のスイムウェアなどに採用されてきました。そしてニコンは、航空機の機体や風力発電用の風車、ガスタービン、ジェットエンジンなど、空気抵抗を減らしたい製品にリブレットを付与。サステナビリティが最重要テーマとなった現代に、さまざまな分野でエネルギー効率の向上を可能にしています。

ターゲットは、
空のCO2。

具体的には、どれくらいの効果があるのでしょうか。全日本空輸株式会社(ANA)では、リブレット加工を施したフィルムの導入が始まりました。いまは限られた範囲での実験的な装着ですが、もしも機体表面の80%にフィルムを貼り付けた場合、見込まれる燃費の改善は約2%。ANAが保有するすべての航空機に導入すれば、年間で減らせるCO2の排出は30万トン、燃油費にして80億円にも達すると試算されています。

100万分の1メートルが生む、
大きな未来。

ニコンが生み出すリブレットの特色は、極めて精度の高いレーザー加工技術と、それがもたらす自由度にあります。金属、樹脂、フィルムといったさまざまな材料に対応できるほか、複雑な3次元曲面への加工も可能。さらに、対象によって異なるもっとも効果的なリブレットのデザインを、ほぼ無制限に追求することもできます。  

リブレット加工の可能性をさらに広げるため、加工技術の検討も進んでいます。航空機のような大きな構造体に、リブレットを付与するためのロボットアームも。さらに、風力発電用のブレードに、自動で加工を施すドローンも。マイクロメートル(※)単位で刻まれる、ごく小さなリブレット。それが世界を大きく変える日は、想像より近いのかもしれません。

※マイクロ=100万分の1