Voice 01
座談会:デジタルが導く変革
新しいニコンをつくるのは、
IT人材とDX。
MEMBER PROFILE
小笠原 尚也
Naoya Ogasawara
ITソリューション本部
本部長
1989年 新卒入社
学生時代は材料科学を専攻。 ニコン入社後は高精度なレンズ素材の開発を手がけたのち、 カメラ製品のマーケティング等、さまざまな経験を積む。 2010年には現在のITソリューション本部の前身となる組織へ。 現在は、ITソリューション本部長として、ニコンの全社的なDX推進の中心的な役割を担う。
川又 一徳
Kazunori Kawamata
ITソリューション本部
デジタル技術部
部長
2007年 中途入社
新卒でSIerに入社し、ネットワークエンジニアとして10年ほど経験を積む。 ニコンの持つグローバルなブランド力に自身のスキルを掛け合わせる仕事に 挑戦したいと考え、ニコンへ転職。 2013年から5年間、タイの生産子会社へ出向し、マネジメント経験を積む。 現在はニコングループのITインフラを支えるデジタル技術部で部長を務める。
※SIer(エスアイヤー):クライアントからの要望を受け、ITシステムの企画・構築・運用を請け負う企業のこと。
駒田 龍
Ryu Komada
ITソリューション本部
エンタープライズシステム部
第一システム課
2014年 新卒入社
学生時代にMBAを取得。入社後、アジア地域で利用しているSAPの会計領域のプロジェクト担当として、マレーシアでITと実務の基礎を学ぶ。その後映像事業部を担当。映像製品部品の受発注計画システムのグローバル導入をIT部門の担当としてリード。現在は、人事部門の掲げる人的資本経営を実現するために、課題解決のソリューション提案やデータ活用促進を行う。 あわせて、複数事業部門の新規事業開発分野にも参画。ITの視点も交えて、ビジネス創出に奮闘。
THEME 01
「IT屋」ではなく、
事業の課題解決が本業。
「ITソリューション本部」(以下 ITS)のミッションを教えてください。
ニコングループの事業課題をITで解決することが私たちの仕事です。 中期経営計画で掲げる「2030年のありたい姿」(https://www.nikon.com/vision2030j/)の実現に欠かせないDXを推進していますが、実は、ひと昔前までITSは各事業部を支える縁の下の力持ち的な存在でした。 でも、今は違う。守りだけでなく攻めの仕事を手がける組織へと進化しつつあります。
ITSには3つの部があって、それぞれがグローバルに広がるニコングループのデジタル領域をカバーしています。 私が部長を務める「デジタル技術部」はパソコンやサーバーなどのITインフラを。駒田さんのいる「エンタープライズシステム部」は業務システムを。そして「IT戦略企画部」ではIT戦略の立案と推進を担当しています。
具体的にはどんな仕事をしていますか?
一例として私が取り組んでいる案件を紹介しますね。 さっき小笠原さんが触れた中期経営計画では「人的資本経営」も1つのテーマです。 その実現のために、人事部と一緒に現状と「あるべき姿」との間にある障害を整理しているところです。 グループ会社のニコンシステムをはじめ、海外メンバーとも連携して進めています。 浮かび上がった問題はITで解決できることもあれば、そうでないことも。
いわゆる「IT屋」ではなく、他部門と一緒に困りごとを深堀して解決を目指すのが本業です。 最初は「この問題、ITで何とかできない?」と相談されることがほとんど。 でも、課題を深堀・整理するうちに本当の問題が見えてくる。 解決策がIT以外の方法になるケースもありますが、解決するならそれでいいのではないか、と。
まさにそうですね。 個人的には「社内向けのコンサルタント」だと思って仕事に取り組んでいます。
THEME 02
ニコンの中で
ITの存在感が増している。
ニコンのデジタル改革はどのくらい進んでいますか?
ニコンは100年以上の歴史を持つ会社。 確かな技術力を誇る一方で、デジタル化の側面ではまだまだ道半ばと感じます。 逆に言えば、新しいテクノロジーを受け入れる「のびしろ」はありますね。
グローバルなブランド力は私たちの誇りですが、 とはいえ「これからは今までのニコンでは通用しない」という認識が 経営層から一般社員まで広く浸透してきた感じがします。 だからこそ、デジタル戦略を重視する動きは活発です。
本当にその通りで、最近の大きなトピックスで言えば、新本社建設プロジェクトのなかでもITの存在感が大きいですよ。
新本社建設プロジェクトとはなんですか?
2024年竣工予定のニコンゆかりの地の大井製作所敷地内に新本社を建設するプロジェクトです。 3つの分科会があり、建物自体を構築する「建築分科会」、働き方を構築する「ワークプレイス分科会」、そして、社屋のデジタル化を担う「IT分科会」があります。 私や駒田さんを含めてITSのメンバー10名ほどがIT分科会に参加していて、デジタル面から快適に働けるオフィスづくりを推進しています。
他の分科会からの要望をIT技術で叶えることが基本ミッションですが、 待ちの姿勢ではよい仕事はできません。 だから、自分たちで考えて要望を追加することもよくあります。
まだこれからの話として例えば、フリーアドレスにしたいと要望があれば、 誰がどこにいるか分からなくなる課題を解決するシステムを導入したり。 社内全域にネットワークを張り巡らせたり、オンライン会議の設備を整えたり。
他にも、社員に対して現状の働き方の調査をしてみると、社員のワークスタイルに「休み時間が短い」という課題があったんです。 これをよく深堀してみると、体感時間が短いだけだった。 ビルの上の階にあるオフィスから1階まで降りてお弁当を買うために並んだりすると、休憩する時間が短くなってしまうんです。 そこで、「並ばない食堂」をつくることの検討にも取り組みました。
本社の建設はなかなか経験できないことです。 しかも、上層部から「若いメンバーで自由にやってみろ」と言われているんで、本当にそうしています(笑)。 これがメンバーのモチベーションにもつながっているようで。
竣工後のデータ活用など、運用面でもいろいろな構想があるんです。 若いメンバーが自発的にアイデアを出して取り組んでくれているので、これからが楽しみですね。
THEME 03
裁量をもって変革に挑む。
だから楽しい。
あらためて、ニコンのITSで働く魅力を教えてください。
メンバーに裁量を与えてくれるんです。 先日も社員向けにIT活用の気づきを提供するために「ITSサミット」というオンラインイベントを開催したんですが、これ、私よりも若い入社5年目のメンバーが発案した企画です。 上司や小笠原さんに相談したら「是非やってみなさい」と言ってもらえて、必要なアドバイスや予算もつけてくれて実現しました。 実際に3500人以上の視聴があって、世界中のニコングループ社員から好評でした。
アイデアを自由に発信できて、その実現を手助けしようとする文化はありますね。 経営層から「若いメンバーのアイデアを取り入れろ」とも言われているので(笑)、どんどん発信してほしいです。
正直に話すと、以前はITSと事業部の関係が対等ではありませんでした。 というのも、ITSは事業部から頼まれたこと「だけ」しかしていなかったから。 しかし今、ニコンが新しい世界へ踏み出すにはデジタル変革が不可欠で、事業部もそれを痛いほどわかっている。 だからお互いに変わり始めて、今がまさに過渡期なんです。 そうでなければITSサミットがここまで注目されることはなかったでしょう。
デジタルへの期待が高まった時代背景もありますよね。 実際に現場だけでなく、経営層からの相談も多い。 だからこそITSが活躍する場は広がっているし、能動的に動くことも求められている。
たしかに以前と比べて変わりましたね。 一人ひとりのアイデアが尊重されるし、私たちを信用してくれていると感じます。
これはITSだけでなくニコン全体の変化だろうね。
そんな環境だから仕事が楽しいですよ。やることはたくさんありますが(笑)。
THEME 04
ITへの期待が、
業務のバックアップに。
自由にデジタル化を進められるのは、会社の期待の表れかもしれませんね。
そうですね。 経営層も現場と同じ課題を認識しているので、 どんどんIT技術を活用するようにと我々を後押しする声が増えています(笑)。 経営層からの期待が、組織としてデジタル化のバックアップに直結しています。 私自身がメンバーのアイデア実現にコミットすることはもちろん、 さらに上層部の支援も期待できるはずです。
実際に新本社のプロジェクトでも自由な発想でIT化を進めていますし、バックアップの力強さは実感しています。 「どんどんデジタル化して!」という状態なので、ITSでは新メンバーの募集も積極的なんですよね。
ニコンが目指す世界の実現には、まず人材が不可欠。 私たちと一緒に冒険してくれる仲間をもっと増やさないといけません。 ニコンには映像だけでなくヘルスケアや精機、デジタルマニュファクチャリングなど幅広い事業領域があり、 それぞれに入り込んでデジタルによるイノベーションを目指せる仕事は、楽しいと思いますよ。 それにグローバルな仕事でもあるし。
海外で働く機会ももちろんありますし、 日本で働いていても海外とやりとりする場面は多いですよね。 私は入社1年目に先輩の指導の下でマレーシアで業務を経験しましたが、 やっぱり視野が広がりました。
川又さんはSIerから転職してこられましたが、事業会社のなかで働く魅力をどこに感じますか?
より深く事業を理解できる立ち位置から課題解決にコミットできる点です。 クライアントとベンダーの関係では理解しきれない部分はどうしてもあるので。 私個人としては、いわゆるIT企業でクライアントワークをするよりも、 事業やユーザーに近い立ち位置で仕事ができる今の方が楽しいです。
THEME 05
最新技術に触れて
スキルアップが叶う環境。
エンジニアとしての成長環境にはどんな特徴がありますか?
幅広いニコンの事業領域を支えるために、 最新のテクノロジーを積極的に取り入れています。 新しい技術に触れながらスキルアップできる環境です。
例えば、ニコンでは「SASE」の概念に基づく最新のセキュリティインフラを採用しています。 実はこれ、日本でもいち早く当社が取り入れたもので、国内トップレベルの知見を持っています。 SASEの導入を主導したのは川又さんですよね!
※SASE(Secure Access Service Edge):これまで個々に存在していた、セキュリティサービスとネットワークサービスを融合する概念。運用コストやセキュリティリスクを削減することができる。
以前から関心があって、いつか導入したいと少しずつ準備を進めていて。 そうするうちにコロナ禍に入りましたが、準備していたおかげですんなりと社員の在宅勤務を実現できました。
他にも、基幹システムはSAP社のS/4HANAに移行を進めています。実はここに野心的な狙いがあるんです。 調達から生産、営業、流通に至るまでの一連の事業活動をカバーすることで、データ活用を通じてビジネスのスピードや価値を高める目的があります。
事業活動のすべてをカバーしているからこそ、エンジニアの意思を反映できるところが面白いです。 チャレンジングではありますが、達成できたらエンジニアとしての市場価値は高まるでしょう。
ほかにも、AWSを中心にクラウドの活用を積極的に推進しているので、新たなデータ基盤や分析基盤を自分で構築するフィールドがあります。
※AWS(Amazon Web Services):Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービス。
それから、工場や製品に関するIoTの分野であったり、 グローバルというキーワードでも成長できる環境ですよね。
私は以前タイの生産子会社へ出向しましたが、 この経験があったからこそ事業部目線が身につきました。 今は自分自身が感じているのと同様に、 世界中のニコングループ社員が心豊かに働き、誇りを感じられる環境をITで創っていけたらと思います。
私はデータを価値に変えることこそ、 次のニコンをつくる上での大きな武器になると思っていて。 ニコンの持つ素晴らしいハードウェアとデジタルが融合した、 無敵の未来を見ることが楽しみです。
二人とも本当に頼もしいなぁ。 こういう仲間をもっともっと増やしていきたいです。
※社員の所属・インタビュー内容は取材当時のものです。