Interview

世界トップクラスの
超精密加工技術の
さらなる深化に挑む。

Yusuke Chiba

生産本部 技術統括部 第一技術開発部 第一開発課
2013年入社
理学研究科化学専攻修了

現在の仕事

加工計測

Profile

Yusuke Chiba

入社動機

学生時代の専攻は物理化学。自分が学んだ知識が超精密分野でどのように活かせるのか興味を感じて志望しました。研究室で使っていた顕微鏡がニコンだったこともあり、親密感がありましたね。面接で会った先輩社員たちの人柄のよさも入社を後押ししてくれました。

異動歴 ※名称は当時のものです

2013年4月:コアテクノロジーセンター製造技術統括部レンズ技術開発部第一開発課
2017年4月:ガラス事業室事業開発部開発課
2023年7月:生産本部技術統括部第一技術開発部第一開発課

One Day

08:20:出社(子どもを送るときは10:00頃)
08:30:メールチェック
09:00:ミーティング。開発チームでの情報共有など
11:00:打ち合わせに関する資料のまとめ
12:00:昼食
13:00:実験。実験室に持ち込んだノートPCを使って、随時Web会議やデータ整理など
16:00:デスクに戻り、実験結果まとめ、次アクションの整理など
18:30:退社

世界トップクラスの
加工計測技術を支える。

取り組んでいる開発テーマを教えてください。

光学レンズの加工プロセスは、石英や蛍石などの光学素材の形を整えていく研削、その表面を磨きあげる研磨、さらにはレンズに膜をつけるコーティングなどに分かれます。私は光学素子の加工計測に関わる技術開発に携わっています。その中で私が主に担当しているのは、半導体露光装置用の光学レンズ。ニコンはこれら光学レンズの超精密加工の領域で世界トップクラスの技術を持っています。その精密さを言葉で表現するのはなかなか難しいのですが、例えばレンズの研磨で要求される精度はナノメートルオーダー、10億分の1メートルです。非球面などレンズの形状も複雑で、さらに表裏の両面に加工を施さなければなければなりません。半導体露光装置用の光学レンズは、ニコンの中でも最高クラスの精度が求められる製品です。世界最先端の加工技術に携われることが何よりも魅力です。このほか、プロセスの自動、省人化技術の開発にも取り組んでいます。

なぜ加工だけでなく
計測技術の開発にも携わるのですか。

光学レンズのような精密加工を行うためには、その精度を測る技術が欠かせません。さらにナノメートルオーダーに仕上げる超精密加工面を計測していくためには、それを超える高精度な計測技術が求められます。これがニコンが計測技術にもこだわる理由です。一方、このような超精密加工は一部技能に頼っている側面があります。その技能を若い世代へと継承していくためには、それらの作業や判断を定量化していくことが不可欠。ここでも計測技術が鍵を握ることになります。作業や判断の定量化を進めることにより、加工メカニズムの解明にもつながり、技術のさらなる改善や応用が可能になります。この加工メカニズムを解明するための開発も、ニコンの加工計測技術にとっては大きなテーマです。

海外エンジニアとの
Face to Faceの議論で得た経験。

印象に残っているエピソードを教えてください。

海外メーカーの装置を購入検討するために、何度も一人で海外出張したことがあります。入社7年目の頃だったと思いますね。世界トップクラスの超精密加工を追求するために、装置の仕様を詳細に詰め、加工精度などを検証しなければなりません。そのためにはFace to Faceでのやりとりが欠かせないのです。現地では、狙った性能を実現できるか、メーカーのエンジニアと議論を重ね、一緒に実験室にこもって実験も行いました。装置の金額が上がれば上がるほど、責任も重大です。期待どおりの性能を実現し、次のステップへ行けた時にはほっとひと安心でした。加工計測の技術者として、またひとつ自信を得ることができました。

技術の深さ、フィールドの広さ、
チームで挑んでいく醍醐味。

加工計測技術のやりがい、面白さは?

技術の深さばかりでなく、フィールドの広さも魅力のひとつだと感じています。カメラや顕微鏡のような製品から半導体露光装置などの産業用製品まで幅広い製品に携われるチャンスがあり、技術者として多様な経験が積めます。広さということでは、さまざまな分野の技術者から刺激を受け、学ぶことができるのも魅力ですね。加工計測はニコンのものづくりの要であり、光学設計をはじめさまざま部署の技術者と日々連携して仕事を進めています。そして、このようにチームでひとつの目標に突き進んでいく醍醐味も、ニコンの技術者としての面白さの一つです。実は私は、若い頃はチームプレーが苦手で、なんでも自分でやりたがる技術者だったのですね。しかし、すぐに限界に気づきました。現在では、チームで挑んだ方が大きな仕事をたくさんでき、達成した時の喜びも大きいことを実感しています。入社して10年が過ぎ、最近ではリーダー的な立場でチームを率いる機会も増えてきました。

私の2030年のありたい姿

ニコンは「2030年のありたい姿」として「人と機械が共創する社会の中心企業」という言葉を掲げています。この言葉は、加工計測技術にとっても大きなテーマであると私は思っています。そのチャレンジは、加工の効率化や技能の継承といった課題ばかりでなく、ニコンの技術をさらに深化させていくためにも重要な取り組みです。光学素子ではまだ誰も実現できていないような技術を開発し、社会に新しい価値をもたらしたい。それをチームの力で成し遂げていきたいと思っています。また、個人的な目標としては、「光学部品の加工計測のことなら千葉に聞け!」と言われるような、社内外の人たちから頼られるスペシャリストを目指しています。

Off Shot!

週末は2人の子どもと一緒に家族で過ごしています。近所の公園で遊んだり、夏は海に行ったり、まとまった休みには飛行機に乗って旅行にも。あとは年に数回、各拠点にいる同期入社の仲間が家族連れで集まり、BBQを楽しんでいます。

※社員の所属やインタビュー内容は取材当時のものです