Z 7/Z 6

2018.12.28| ミラーレスカメラ

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息づく伝統、紡ぐ未来

革新と伝統の融合で誕生した新たな進化系統

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「Z マウント」をデザインの核に

ニコンのカメラにはFシリーズやDシリーズを通して脈々と築いてきた確かな伝統があります。それは私たちが大事にしてきたスピリットであり、お客さまにも価値を見いだしていただいてきた魅力です。その伝統を活かしながら、いかに新しさを生み出していくか。それが、デザインチームに与えられた使命でした。
部内の検討で最終的に残ったデザインの方向性は3つ。Nikon FやF3に象徴されるメカニカルでオーセンティックなたたずまいを表現する案が1つ、Dシリーズで培った身体親和性の高い躍動的なデザインを継承する案が1つ、そしてニコンのカメラの新たな歴史の要となるZマウントを中心に据えてミラーレスカメラならではの新たな方向性を追求する案が2つ。デザインチーム全員で議論した結果、Zマウントを核としながら、ニコンらしい佇まいを体現していく案に決まりました。

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手にして感じるニコンらしさ

製品発表以降、実機を手に持った瞬間に「ニコンらしいね」と言ってくださるお客さまが多くいらっしゃいました。
これまで培ってきたエルゴノミクスの思想を引き継いだこと、操作するときの感触や心地よさ、細部に至る丁寧な作り込みが、お客さまが感じるニコンらしさに繋がっていると思っています。
このプロジェクトでは、開発の初期検討段階から本格的にデザイナーが関わったことで、Zシリーズならではの新たな骨格が見えてきました。
手の大きさは人それぞれです。ミラーレスならではの小型軽量ボディーを維持しながら、グリップ天面をボディーよりも高くすることで、手の大きな人でも小指までかかりやすく、安心感のあるグリップに仕上がりました。
カメラ本体の骨格からデザインを行なってきたことで、Z 7/Z 6では後方に繰り出した電子ビューファインダー(以下、EVF)も大きな特徴になっています。度重なる検討の結果、EVFをのぞいた時にも背面液晶に鼻が当たることを防ぎ、撮影行為に没頭することができるEVFが実現しました。

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素材の質感へのこだわりもまた、ニコンらしさに寄与していると思っています。グリップの握り心地を左右する表面素材の革シボについては、シボの密度や深さなどの検討を何度も重ね、手のひらへしっかりと食いつく、質の高いパターンを追求しています。
さらに、こだわったのが、ボタン類への「色入れ」です。一般的にはボタン類に表示する数値や記号などは、表面にプリントしています。しかし、Z 7/Z 6では数値や記号の形状をまず彫り込み、そこにインクを流し込んでいます。質感が向上するとともに、汗や擦れによる摩耗が抑えられるため色が剝がれにくくなり、表記の劣化を抑えます。施す価値のある処理だと考え、すべてのボタンに採用しました。

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0.1mm単位の調整で小型化と操作性を両立

ニコンらしさに寄与する信頼性や操作性とミラーレスならではの小型化を高いレベルで両立させることは、とても難しい課題でした。
操作性を左右するのは、ホールド時の各ボタンへのアクセスのしやすさです。いかに自然に指を誘えるか、デジタル一眼レフカメラで培ったエルゴノミクスの知見を活かしながら、ボタンの位置や大きさなどの調整を繰り返しました。人の手は、ごくわずかな違いをはっきりと認識します。それだけに、調整は0.1mm単位で行う必要がありました。
特に、背面のボタンについては、それぞれの大きさや凸量、角度、押し込んだ時の感触などを微妙に変え、ファインダーをのぞきながら操作する際も押し間違いのないよう配慮。また、グリップ天面をあげて小指までかかりやすくしたり、背面のAF用ボタンを斜めに傾けて他のボタンとの不用意な干渉を防ぐようにしたりなど、随所で0.1mm単位の検討を重ねました。

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背面ボタンの角度を検証するためのモック
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ミラーレス機に求められる快適な操作性を実現

小型化によってボディー表面積が少なくなるため、ハードウェアキーの数は減らさざるをえません。それでも、デジタル一眼レフカメラを使っていた人でも違和感なく操作することができるよう、Z 7/Z 6ではGUIを大きく変更しました。
設計にあたってはカメラ業界の文脈だけで考えるのではなく、スマートフォンなども含め、世の中で広く一般化している機器の操作感まで意識しました。

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シミュレーターを作り、GUIを検証

グリップを握った際に自然に親指のかかる押しやすいエリアには、さまざまな機能を集約したiボタンを配置。ユーザー1人ひとりの使い方に寄り添う操作性を実現するため、6×2段の12項目すべてをカスタマイズできるようにしました。また、ファインダー内のGUIは接眼した際に撮影者に負担をかけないよう、背面モニターとはデザインを変更しています。具体的には、EVFをのぞいている時にも快適に操作できるよう、自然に目に入る位置へ情報を集めました。加えて、数値やアイコンなどの情報を隅に寄せて撮影画面を邪魔しないよう配慮。デジタル一眼レフカメラ時代から続く「ユーザーファースト」のニコンらしさを継承しています。
EVFの自然な見え味もまた、これまで築いてきたニコンらしさに寄与する特長の1つです。この強みをより活かすために、数値やアイコンなどの画面内表示要素の細かさ・処理・輪郭を、できるだけ明確・明瞭に見えるよう調整しています。

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レンズとボディーを同じ世界観で統一

Z 7/Z 6はまったく新たな系譜の起点です。だからこそできるデザインの新機軸があります。その1つが、レンズとボディーの世界観の統一です。Z 7/Z 6は、システムの持つ高いポテンシャルを最大限引き出すことを目指しました。その思想を体現するため、マウント周辺の金属部材とレンズの根元部分の質感をアルマイト処理で統一。レンズ装着時にボディーとの連続性を高め、レンズがマウントの延長として存在するような印象を与えるデザインとしました。

  • アルミの表面に酸化皮膜を形成する技術
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左からGUIデザイン担当 吉川 修平、プロダクトデザイン担当 今水 誠、GUIデザイン担当 熊崎 武敏

ここを起点に、さらなる進化を

Z 7/Z 6のデザインは、ニコンのカメラの新たな歴史を築く第1歩です。しかし、まだ進化の途についたばかり。テクノロジーの進化はとても速く、デザインもまた同様です。お客さまからのフィードバックを真摯に検討し、これからもユーザー1人ひとりの要求に応えられるよう、チャレンジし続けます。

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