次世代技術の価値を伝える
2022.6.30 | デザインワーク
技術にカタチを、価値に驚きを
現在、ニコンはこれまで培った技術を活かした新しいソリューションを提供しようとしています。
ニコンの新たなソリューションであるロボットビジョン、リブレット加工の存在を、
技術を、価値を多くの人に伝えることに挑んだ、デザイナーと開発者のチャレンジをご紹介します。
工場や研究所を抜け出し、多くの人の前に
工場や研究所で、ものづくりや研究を支えるニコンがあります。顕微鏡、半導体・FPD 露光装置、産業機器、光加工機など……いずれもカメラと同じように、使いやすさ、信頼性、性能などを徹底的に追求することで、さまざまなビジネスの発展、さらには社会課題の解決に貢献しています。
そんなニコンの最新の取り組みが、ロボットに人間を超えた動体視力を与えたロボットビジョンと、素材の表面にサメの肌を模した微細な加工を施すリブレット加工です。それぞれ生産工程の省力化に、消費エネルギーの低減に効果を発揮するテクノロジーとして量産に向けた開発が進んでいます。
ビジネスのために生まれてきた、しかも開発中の技術。本来は一般の方がまず目にすることのないものですが、これを広くお披露目する「展示会」というチャンスがやってきました。どのようにすれば、このまたとない機会にニコンの技術や取り組みを伝えることができるのか。デザイナーたちは前例のないミッションに挑むことになりました。
前例のないものを伝えるために
人間を超えた動体視力で動くものを瞬時にとらえ、物体のかたちや材質を正確に認識して作業を行うロボットビジョン。そして、ニコンの光利用技術と精密技術を活用した表面加工で、風力発電の風車や航空機の翼などに発生する空気抵抗を減らすリブレット加工。
いずれも、実用化に向けた開発が進んでいます。
こうした先進技術を開発するチームの合言葉は「いらない技術に価値はない」。高度な技術を開発するだけでなく、使い勝手に優れたものとすることにこだわり、実用性を磨き上げてきました。
デザイナーの使命は、そんな開発メンバーと想いを共有し、技術や価値を魅力へと昇華させること。今回はロボットや金属加工などの専門家だけでなく、展示会を訪れる一般の方にも「新しい技術でこんなこともできるんだ」「自分だったらこんなふうに使ってみたい」という驚きや期待、夢をいだいてもらえる姿、動きを与える必要があります。
魅力的なカタチと、驚きのある動きを
ピッキングや溶接、組立などさまざまなものづくりの現場での活用を見据えたロボットビジョンは、プロトタイプでありながらも量産品と変わらない完成度を追求。
工場だけでなく家庭にも馴染みそうな有機的フォルムを持った純白の外観には LED による発光体を仕込むなど、技術の先進性が造形に落とし込まれています。
そんなロボットが会場で行うアトラクションとして選んだのは「ドミノ倒し」。誰もが一度は遊んだことのあるものですが、ランダムに倒れる小さなドミノを見分け、的確につまんで並べ直すのは従来のロボットには難しいもの。ロボットビジョンの持つ新しい可能性を表現するには最適だといえます。
ところが、開発中の技術に本来の用途とは違う動きをさせるのは簡単なことではなく、当初は失敗の連続に。開発者がプログラミングをするすぐ横でデザイナーがかたちを調整し、また動きを作り込むなど、ひとつのチームとしてスピード感を持った開発を行うことで乗り越えていきました。数々の問題を解決して完成させたドミノ倒しは評判も上々で、多くの方が足を止めて見入る様子が見られました。
もうひとつの技術、リブレット加工で目指したのは「インパクト」。風力発電のブレードを模したオブジェがそびえ立ち、その足元には、将来的に自律的な走行・飛行を行いながら表面加工を施すモバイルリブレット加工機が佇んでいます。
オブジェの巨大さや、モバイルリブレット加工の先進性を入り口にして、見た人それぞれがこの技術のもたらす社会について想像をはたらかせられるものを目指しました。
新しい技術を世の中に広め、社会課題を解決していくための第一歩は多くの人に知っていただくことから。ニコンの挑戦はこれからも続いていきます。
技術を伝えるための挑戦は続く
ID グループ
中島 充雄
ニコンが生み出した新しいテクノロジーを目の当たりにしてとても誇らしかったですし、「この感動を誰かに伝えたい」と思いました。このカタチ、そして「ドミノ倒し」というアトラクションには、私たちの感じた感動や驚きが詰まっています。これからもデザイナーとして、技術や価値を人に伝えるための架け橋になりたいと強く思っています。
ID グループ
小林 佑規
新しい技術に、姿かたちを与える。私が取り組んできたどんな仕事よりも自由で、挑みがいのあるプロジェクトだったと思います。今回は開発途上でしたが、この技術の本来のポテンシャルはもっと高いところにあります。完成の暁には、さらに魅力的な展示ができるよう、これからも力を尽くしていきたいです。
エクスペリエンスデザイングループ
渡邉 純人
発展途上の技術に価値が生まれていく様子を間近で見られたこと、そこにデザイナーとして関わることができたのは、本当に嬉しかったです。量産に向けた開発が進んでいますが、実際に使っていただくお客さまのことを考えながら価値を伝えるための取り組みを続けていきたいと考えています。
コミュニケーションデザイングループ
西谷 芽衣
量産に向けた開発、プロトタイプのデザイン、そして展示会への出展。多くの人がつないできたバトンを受け取り、後半のプロセスで技術や価値を一般の方にもわかりやすく、魅力的に伝えることに全力を尽くしました。これからもニコンの挑戦を伝えるために、デザインの視点を活かしていきたいと思います。
次世代プロジェクト本部 / 第二開発部 / 第二開発課
長谷川 智志
将来的に工場で働くことになるロボットを一般の方にプレゼンテーションするというのが今回のプロジェクトでしたが、価値を「驚き」とともに伝えることの重要性は、ロボットエンジニアの方へ向けた発信でも変わらないと思います。使う人のインスピレーションを刺激するような方法を考えつづけていきたいです。
エンジニアリングソリューション事業本部 / 第三開発部
小林 健
これまでに携わってきた半導体露光装置などの開発では、手順がきちんと確立されているものばかりでした。一方、今回のプロジェクトは何もかもが自由。苦労もありましたが、ロボットを制御する「おもしろさ」を感じられる貴重な機会になりました。製品化に向けてもデザインの力を活かしながら、この技術の価値を伝えていきたいと思います。
ID グループ
三輪 治季
今回携わったリブレット加工は、「多くの人の目に触れる可能性のあるBtoB 製品」という、これまでと少し違った立ち位置のプロダクトだと思っています。暮らしを変える可能性のある新しい技術。その価値を多くの人に感じていただけるデザインを目指して、これからもチャレンジをしていきたいと思っています。
次世代プロジェクト本部 / 事業開発部 / 事業開発課
後藤 優太
お客さまがいまどのようなことに困っているのか、なにができればブレイクスルーにつながるのかを丁寧に聞きながら、新しい価値を一緒に創造するということに挑戦しています。そのためには価値や共感を具現化できるデザインの力が不可欠です。技術とデザインの両輪で、お客様にも地球にも必要とされる技術へと育てていきたいと考えています。
次世代プロジェクト本部 / 事業開発部 / 事業開発課
中山 睦喜
リブレット加工をレーシングカーの開発に活かすための取り組みも進めています。この分野ではラップタイムをコンマ1秒削るために多くの人が日々努力をしています。もし私たちの技術が「勝利」を後押しできたら、感動という新たな価値が生まれると思います。ビジネスへの貢献だけでなく、技術で人の気持ちを揺り動かすということにも挑戦していきたいです。
Works
- 学生とともに考える、未来を見据えたデザイン
- すべての社員と目指す「ありたい姿」
- これからのニコンデザイン
- 次世代技術の価値を伝える
- Designer’s Voice vol.4
- Z fc
- Designer’s Voice vol.3
- ニコンプラザリニューアル
- ECLIPSE Ei
- Designer’s Voice vol.2
- C3 eMotion
- SnapBridge
- NIKKOR Z レンズ
- キッズデザインワークショップ
- Designer’s Voice vol.1
- Z 7/Z 6
- クリエイティブスキルアップ
- ECLIPSE Ti2
- KeyMissionシリーズ
- COOLPIX W100
- MONARCH HG
- D5 / D500
- ECLIPSE Ts2 / Ts2R
- NEXIV VMZ-R