レーザーアブレーション加工
技術概要
レーザーを用いて物質を除去する加工方法であり、金属、ガラス、セラミックスなどのほぼすべての固体材料に対して適用できます。非接触で加工できるため複雑な形状に対応しやすく、特に超短パルスレーザーを用いれば熱の影響がほかの加工方法と比べ小さく所望の形状に加工しやすくなります。高精度な計測と組み合わせることで加工のための治具が不要な点も利点です。
高強度の超短パルスレーザーを用いたレーザーアブレーションは、照射した部分において物質を結び付けている分子や原子の結合を直接壊します。加工に用いるレーザー光は、波長やパルス幅、パルスエネルギー、パルスの繰り返し周波数など、加工したい材料および加工サイズや精度に応じて選択します。レーザー光を加工する材料に当てる集光系や走査光学系を設計し、走査経路を設定する必要があります。走査経路は、パルスエネルギーと繰り返し周波数、スポットサイズや走査速度など踏まえて加工できる量を推定しながら、所望の精度および形状に加工ができるように、決めます。
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複雑な形状で高精度な金属部品や従来の加工方法では難易度の高いレンズ形状の加工などに用いられます。従来の加工方法では複数部品を組み合わせざるを得なかった複合部品を一体で加工することができます。
製品として提供している光加工機(レーザー加工機)では、リブレットのようなの複雑で微細な加工にも用いられています。
技術の適用事例
光加工機(レーザー加工機)
光加工機(レーザー加工機)はニコンの半導体露光装置の技術を応用して開発された加工機であり、座標系は高精度・広範囲に管理されており、加工データを忠実に再現することができます。光源には超短パルスレーザーを採用しており、あらゆる材料に対して非熱のレーザーアブレーション加工を実現できます。さらに、機上には3D 光計測機を搭載しているため、計測結果を精確にフィードバック加工することが可能です。加工パスは CAD データ、加工パラメーター、対象物の3D 計測結果から自動生成されるため、作業者のスキルに依存せずにサブマイクロメートルの高精度加工も実現できます。
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光加工
光を用いた加工のため非接触で加工することができ、加工における制約が小さく、複雑で小さな形状の加工などが可能です。光を適切に選べば幅広い材料の加工ができます。例えば金属の付加加工では、加工サイズや精度に応じて金属粉末を敷き詰めてレーザーで部分的に溶かして固めて行くパウダーベット方式や、金属材料をレーザーで溶かしながら積層していく指向性エネルギー堆積法(DED)などがあります。
ニコンの製品である光加工機(レーザー加工機)は部品の補修にも用いられ、高速で高精度に造形ができることが求められます。航空機などにおいて摩擦抵抗を抑えるために機体の表面に微細な構造を形成するリブレット加工では、大型の加工物を効率よく除去加工できることが必要です。露光装置などの高精度で複雑な部品の造形にも用いられます。
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