非球面加工

技術概要

結像光学系において、球面レンズの組み合わせだけでなく非球面レンズを加えることにより、球面レンズでは補正しきれない収差成分を低減することができます。また、より少ない枚数のレンズで収差補正が可能になります。複雑な光学系においても非球面レンズや非球面のミラーを用いることにより設計自由度が増え、所望の性能が達成しやすくなります。

機械加工では一般に研削によって所望の形状に作りこみ研磨によって研削面の粗さを取り除きます。レンズなどの光学部品では不要な光散乱が表面で生じないように研磨において鏡面に仕上げます。曲率が一定でない非球面レンズの研磨は、球面のように曲率が一定のポリッシャーを一様に動かす方法は使えず、加工物よりも小さいポリシャーを用いて研磨量を制御しながら部分的に研磨していきます。研磨量はレンズ表面形状の計測データより設計形状からの差分を算出したものを用います。
加工物、ポリッシャー、研磨剤を適切に選定し、この条件を踏まえ、ポリッシャーの加工面における滞留時間(局所的な加工時間)を研磨量に合わせ設定し研磨します。

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非球面レンズ研磨と球面レンズ研磨

半導体露光装置などの投影レンズでは、限りなく収差をゼロに近づける必要があり、大口径レンズにて高精度な非球面加工が必要となります。成形では難しい材料や口径が大きいレンズやミラーなどの自由曲面、高精度が求められる光学部品に対しても非球面加工が求められます。

技術の適用事例

半導体露光装置

半導体露光装置は微細な電子回路パターンを露光するために、20枚以上のレンズを組み合わせた投影レンズにより高い解像度を実現しています。高精度な非球面加工により少ないレンズ枚数でも所望の結像性能が得られ、軽量化、コスト低減や透過光量低下によるスループット低減回避などが可能になります。また照明系などの光学系でも設計の自由度が増し、光を自在にコントロールすることができます。

半導体露光装置

関連技術

機械加工

製品を構成する様々な部品は、主に工作機械を用いて材料を切削、研削、研磨することにより形作られます。この加工の精度が製品の組立や調整などに影響し、最終的には製品の性能が左右されます。加工形状や材料の物理特性によって適切な加工方法および治具・工具を選ぶ必要があります。

大型で高精度が求められる露光装置では、その部品の加工においても大きいものを高精度に仕上げることが求められます。レンズの加工だけでなく、それらを支える鏡筒やステージにおいても高精度な加工が必要となります。軽くて剛性の高いセラミックスの研磨では物理的な作用と化学的な作用のバランスを取りながら、広範囲における平面を高精度に仕上げることが求められます。高精度な加工を達成するために高精度な計測機や加工設備、その制御技術も必要となります。

高精度機械加工

関連する主な製品