精密加工技術

ニコンの高精度な部品や製品組立に不可欠な技術です。生産数や精度、加工対象の大きさが異なるさまざまな製品を取り扱っており、これに適した加工法を適用します。特に光学系の部品に用いられる硝材や膜の種類は数多くあり、材料と要求仕様に適した加工プロセスおよびその設備が必要となります。光学部品だけに限らず、製品の構成要素となる部品やレンズの金型など、金属や樹脂の材料の高精度な加工も重要です。また、製品として光加工機を提供しており、自社だけでなくお客様の加工支援にも取り組んでいます。

光学系において、球面レンズだけでなく非球面レンズや非球面のミラーを用いることにより設計自由度が増え、所望の性能が達成しやすくなります。非球面の研削や研磨工程において、曲率が一様な球面とくらべ、所望の形状に基づいた複雑な加工操作が必要となります。ニコンでは、極限の光学性能が求められる露光装置の投影レンズや小型軽量化が必要となる双眼鏡、カメラレンズに適用されます。

レーザーを用いて物質を除去する加工方法であり、金属、ガラス、セラミックスなどのほぼすべての固体材料に対して適用できます。非接触で加工できるため複雑な形状に対応しやすく、従来の複合部品を一体で加工し製作することも可能です。ニコンでは複雑な形状で高精度な金属部品や加工難易度の高いレンズ形状の加工などに用いられます。製品として光加工機を提供しており、省エネにつながる微細構造(リブレット)の加工手法も提案しています。

精密に加工した超硬材の成形型を用いて高温下で軟化させたガラスを加圧成形することにより、研削研磨をせずに同じ形のレンズを大量に生産できます。特に、非球面レンズの研削研磨は難易度が高く工数がかかるため、非球面形状の型を製作すれば球面レンズと同様に量産できることは大きな利点です。ニコンでは生産量の多いカメラレンズなどに利用されます。

反射を防止する膜により、反射光を抑え透過してくる光をより見えやすくすることが可能です。一般に反射防止膜は使用する光の波長帯域において反射が低減するように設計され、膜の材料および厚みの設計に基づき多層膜に成膜されます。カメラレンズや顕微鏡対物、投影レンズなどレンズ枚数が多い光学系において不可欠です。レンズ界面で反射した光は複数枚あるレンズの各面で多重反射してゴーストやフレアの原因となり、これを低減することができます。