高精度位置計測
技術概要
注目対象の位置を計測することにより、その対象を所望の位置までに動かすための駆動量の指示や注目対象にほかの対象を合わせる指示が可能となります。光を用いた位置計測では、光の強度変化や波長などや検出の仕方により様々な対象および計測精度や計測範囲に対応することが可能です。産業用途では装置内のパーツを駆動する際の位置制御などに用いられます。
位置計測は基準点に対する相対的な距離を測ります。光を用いた計測では、レーザー光を対象物に照射しその応答を検出します。三角測量を用いる方法やパルスのような光を対象物に照射しその反射光が帰ってくるまでの時間から距離を算出する光レーダ法や光を基準物と対象物に照射しその反射光を干渉させることにより距離を測る光干渉法などがあります。一般に高精度な位置計測では光干渉法が用いられる場合が多いです。
画像クリックで拡大
露光装置では、ステージ上のウエハの正確な位置に露光する必要があるため、常にウエハステージの位置を高精度に把握することが求められます。ステージの水平面内の方向だけでなく、フォーカスに影響する垂直方向やステージ面の傾きなども高精度に計測しています。露光装置では高いスループットも要求されるため、高速に位置を計測できる必要があります。光干渉法による計測の代わりに、スケールと呼ばれる定規に光をあてながら位置や角度の変化を読み取り位置を計測するエンコーダを用いる方法も開発しています。
画像クリックで拡大
技術の適用事例
アライメントステーション
半導体製造プロセスにおける露光前の全てのウェハに対して、ウエハ面の歪みの絶対値を高速かつ高精度に計測し、すでに露光されているパターンと正しく重ね合わせて露光できる様に補正します。歪みの計測値を露光装置にフィードフォワードすることで、今までは不可能だったウェハごと、ショットごとの高精度な重ね合わせ補正を可能にしています。グリッド計測に限らず、さまざまなプロセスエラーの計測と補正に寄与するハードウェアやソフトウェアの追加・拡張が可能です。ニコン製のソフトウェアに限らず、サードパーティによるアプリケーション・ソフトウェアも利用できます。ニコンの半導体露光装置であれば、液浸スキャナーだけでなく、ドライスキャナーとの組み合わせも可能です。Litho Boosterの計測結果と補正値をフィードフォワードすることで、既存装置を有効に活用することができます。
この事例に関連する技術
関連技術
位置・変位計測
対象物の位置や動いた量を把握することにより、装置においては制御や、被写体の場合はオートフォーカスや追尾などをすることができます。また加工プロセスにおいては、加工箇所を特定することができます。特に回転角の計測は、ロボットアームなどの向きを制御することが可能になります。
ニコンでは、露光装置において高速・高精度なステージ制御に用いられる位置計測やカメラでは被写体にピントを合わせるための被写体までの距離計測などに利用されます。
産業用ロボットの関節などに組み込まれる角度センサーであるロータリーエンコーダは製品として提供しており、高精度とともに小型であることが求められます。空間上で座標系を構築するローカライザーは、例えば加工対象の位置を高精度に計測できることにより、生産工程において機械による自律的な加工が可能になります。
関連する主な製品
ニコンの技術、研究開発に関する記事をタグ検索できます。