光学部品形状計測
技術概要
レンズやミラーなどの光学系を構成する光学部品は、その表面形状により光の反射や屈折を変えることができます。その表面形状が計測できることにより、所望の表面形状に加工し、自由自在に光を操ることができます。光学部品の生産工程において、加工へのフィードバックや部品の品質保証に用いられます。
光学部品形状を計測する方法は接触式と非接触式に大別できます。一般に接触式は表面状態による「だまされ」が少ない計測ができる一方で走査により時間を要すること、表面を傷つける可能性があることが懸念点であり、用途に応じて使い分けます。
レンズの表面形状を高精度に間接的に計測する方法として干渉計を用いた非接触式の方法があります。基準とする光と計測したい面(被検面)を経由した光を干渉させた光の強度を計測することにより、二つの光の位相差がわかり被検面の相対的な高さが算出できます。レンズの生産工程で用いる場合には、基準とする光の波面に球面波を用いて、被検面全体を一括で計測することにより、効率よく被検面の形状を計測します。
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ニコンでは様々な形状の光学部品を扱っており、それらの形状を高精度に計測する必要があります。計測結果は加工へのフィードバックだけでなく、品質保証にも用いられます。干渉計を用いた計測では、計測の基準とする参照波面の精度保証も要求されます。特に、非球面レンズの形状を高精度に計測する場合には、基準とする参照波面を球面波ではなく被検面により近い参照波面を用いるといった工夫が必要です。
技術の適用事例
半導体露光装置
照明光学系や投影光学系、ステージの位置を計測する光学系などが搭載され、それらの光学系は数多くの光学部品によって構成されています。様々な光学部品の高精度な形状計測により所望の形状の光学部品が得られ、高い精度での露光が実現できています。投影光学系のレンズの面精度は、誤差わずか1nm。仮にレンズの直径が地球大まで拡大したとすると、地面にわずか1cmの凹凸しか許されない精密さです。部品の寸法誤差やレンズ1枚ごとの面精度など、レンズ加工の工程ごとにデジタル化された計測データを収集し、設計へのフィードバックを行います。
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形状計測
物体の表面形状を測る方法として大きく分けて接触方式と非接触の方式があります。光を用いた計測では主に非接触方式となります。物体表面を傷つけずに早く測定することが可能です。
基本的には光を計測物に照射しその反射光や散乱光を計測します。計測手法によって、様々な計測物の表面形状や大きさ、計測精度・速度に対応することが可能です。様々な材質の部品の加工や外観検査において、所望の形状が得られているかを把握することができます。
ニコンでは主にレンズをはじめとする光学部品の加工において、形状計測が必要となります。特に半導体露光装置などの投影レンズにおいては、大口径のレンズ形状を高い精度で計測する必要があります。
製品として提供している計測機では、レーザーレーダのように高速でかつ高精度にレーザーで部品表面を走査し形状計測することやロボットビジョンのようにステレオカメラにより人の目のように立体的に対象物を計測しています。
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