精密計測技術

精密な計測ができることにより、高精度な部品加工や装置における様々な制御が実現できます。また、生産工程においては、組立の調整や品質保証において重要な役割を果たし、ニコンの高品質な製品の礎です。ニコンでは主に光を用いた計測を得意とします。波動の特徴である振幅、位相、波長(周波数)、偏光を時空間的に変調させることで、光を計測の道具として用いています。光学部品のような透明体に対する計測やリアルタイム制御に必要となる高速な計測などそれぞれの要求にあった計測手法を適用します。

光が一点に収束する波面の理想球面波からのズレ(波面収差)を計測します。波面収差は複数種類の収差成分を一度に評価でき、光学系を調整する際や光学性能の保証するために用いることができます。ニコンでは露光装置の投影レンズのように高精度計測が求められる光学系やカメラ交換レンズのように広角や望遠など焦点距離が異なる光学系、顕微鏡の対物レンズのような広い波長帯域用の光学系に対応できる様々な計測手法を有します。

注目対象の位置を計測することにより、その対象を所望の位置までに動かすための駆動量の指示や注目対象にほかの対象を合わせる指示が可能となります。ニコンでは、光干渉法や光レーダ法、リニアエンコーダを用いる方法など光を用いて位置を計測しています。露光装置ではステージ上のウエハの正確な位置に露光するために用いられ、高速高精度な計測が必要となります。

レンズやミラーなどの光学系を構成する光学部品は、その表面形状により光の反射や屈折を変えることができます。その表面形状が計測できることにより、所望の表面形状に加工し、自由自在に光を操ることができます。光学部品の生産工程において、加工へのフィードバックや部品の品質保証に用いられます。ニコンでは様々な光学部品を扱っており、それらの形状・サイズや要求精度に応じた計測方法を適用しています。

物質は光の波長によって透過や反射の程度が異なります。透過や反射した光を波長ごとの成分に分け(分光)、その光強度パターン(分光スペクトル)に基づき対象物の物質を特定することができます。一般に紫外・可視・近赤外の波長帯域の光を対象物に照射し、反射光や透過光を分光することにより物質の空間分布を把握します。例えば、生体組織の異常検出や食品での品質管理などに活用されます。