材料技術
ニコンでは主に光学系に用いられる材料を扱っており、材料技術の開発は光学系の一貫したものづくりの出発点となります。材料の組成開発から製造工程の開発、量産対応や品質の評価および保証が必要となります。カメラや双眼鏡のような可視域の自然光や露光装置のような深紫外域のレーザー光、顕微鏡で用いる近赤外域のレーザー光、など様々な波長の光に適した材料が必要とされます。同時に生産性の観点でコストや加工のしやすさも考慮した材料が求められます。
蛍石
人工合成した蛍石は、紫外線から赤外線までの広い波長帯域で、光透過率が高いことや屈折率変化が小さい特徴をもっています。一般的な光学ガラスと組み合わせることにより、色収差を補正することができます。蛍石の原料を高温で熔かし、長時間かけて、必要とされる大きさの結晶まで育成します。ニコンでは露光装置で用いられる光学部品やカメラの望遠レンズなどにおいて、強力な色収差補正とともに小型軽量化に利用されています。
特殊低分散ガラス
屈折率の波長依存性が一般的な光学ガラスと異なるため、これらを組み合わせることにより、効果的な色収差補正が可能になります。必要とされる光学特性となるよう組成開発し、これに適した製造プロセスを開発します。同様の光学特性をもつ蛍石に比べると、製造および加工において難易度が低く、多くの光学製品に用いることができます。ニコンでは双眼鏡や望遠鏡、カメラレンズなどの色収差補正に用いられます。
位相フレネルレンズ用樹脂
位相フレネルレンズは、光の回折現象を利用して光を曲げます。位相フレネルレンズを従来の屈折レンズと組み合わせることにより、色収差の補正を実現することができます。ニコンでは、このレンズを樹脂で作製することにより、望遠レンズや双眼鏡などの軽量化が実現できます。樹脂材料開発では、所望の光学特性を有しつつ回折格子状の成形がしやすい組成やプロセスを工夫します。
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