研究開発

先を読み、技術を生み出す

ニコンでは、中長期の計画にもとづき技術戦略委員会にて重点投資分野と技術開発の方向性を決定しています。基盤技術や将来技術の開発を担うコーポレート系研究開発部門と製品開発を担う事業部門、そしてグループ会社とが連携して技術開発を進めています。
大学、研究機関やスタートアップを含む企業との共同開発も積極的に行っています。また科学技術の発展のために、大学の寄付研究部門を通してこれまでの研究開発から得た知見を社会に還元しています。

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ニコンの研究開発の体制

技術戦略委員会

全社の中長期計画に基づいて、ニコンが注力すべき新領域の開拓や既存事業の競争力向上につながる技術戦略を明確にし、重点投資分野と技術開発の方向性を決定する委員会です。中期経営計画にて設定した「インダストリー」と「クオリティオブライフ」の価値提供領域において、技術開発を進めます。これにより、幅広い社会的課題やニーズに積極的に応えながら、ニコンの長期的な成長を目指します。

事業部門

各事業部門の製品・サービス計画に基づき、全体設計から要素に落とし込んだ設計それぞれにおいて必要となる技術の開発を行っています。全体設計においては、例えば露光装置の場合、装置として必要な精度やスループットなどを達成するために、光学系やステージ系などの各要素技術における仕様決定します。各製品の要素技術においては、露光装置の高精度なステージ制御や位置計測、カメラの高速なAFシステムや画像処理エンジン、顕微鏡の新規観察手法や画像取得自動化などの開発を進めています。

コーポレート系研究開発部門

各事業において共通に必要となる技術や将来の事業に必要となる技術の開発を行っています。多くの製品の根幹となる光学系および光源の応用研究、開発に取り組んでいます。また生産のための技術開発も必要です。大きさ、要求精度、生産数などが異なる多様な製品の生産性向上、そして今までにないものを作り出すために、材料開発から加工、組立・調整、検査など各生産工程における技術を開発しています。
製品に使える技術にするまでには、長い開発期間を要します。将来に必要となる技術を仕込んでおくこともコーポレート系研究開発部門の役割となります。

グループ会社

各グループ会社の役割に応じて、様々な研究開発を行っています。事業系グループ会社では製品に近い開発、生産系グループ会社では生産工程に必要な技術の開発を主に行います。研究開発に特化したグループ会社(Nikon Research Corporation of America)はアメリカに拠点をもち、Precision Optical Systems, Vision / Robotics, AI応用の研究開発に取り組んでいます。

研究開発の連携事例

「霧」を用いた透明導電性薄膜の製造方法の開発

フレキシブルな液晶パネルや有機ELパネル、太陽電池へのニーズが高まっていることから、ニコンはそれらの製法のひとつである「Roll to Roll」工法の研究開発を進めています。「Roll to Roll」工法で用いる装置本体やその周辺技術のひとつとして、フレキシブルデバイスに用いることができる透明導電性薄膜の研究をしています。「Roll to Roll」工法の開発を進めている事業部門と連携し必要となる周辺技術を踏まえたうえで、コーポレート系研究開発部門にて東北大学多元物質科学研究所と共同研究をおこない、透明導電性膜の製造方法を開発しました。

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ミスト成膜した膜の断面構造とその導電性

成果発表・社内評価

学会・学術論文

研究開発の成果は、学会での発表や学術論文投稿といった社外への発信も積極的におこなっています。特に社外での評価が高い成果に関しては「Nikon Research Report」としてまとめ、発行しています。
成果発表だけでなく、学会や工業会などの外部団体の企画運営に携わる委員や大学の客員教授などの役割を担い幅広い場で活動しています。

社内の評価・取り組み

フェロー制度:世界的水準の専門知識と高い見識をもった技術者をフェローと認定するフェロー制度を導入しています。社内外から高い評価を得ている技術のスペシャリストを中心に業界をリードする最先端の研究開発を進めています。
ニコン技術フォーラム:ニコングループ内の技術者の交流の場として、年に一回技術フォーラムを開催しています。全社からエントリーされた100件に近いのテーマを2~3日かけて発表します。異分野の技術者との議論により新たなアイディアや知識の広がりが得られています。
技術カレッジ:ニコンの「ものづくり」に必要な基礎力を身につけるだけでなく、広い視野を持った創造性豊かな技術者を体系的に育成することを狙いとし、各技術分野の研修を選択受講できる環境を整えています。

社外の活動や成果について、もっと詳しく