AIを活用したワークフロー改善ソリューション、顕微鏡用AIモジュール「NIS-A NIS.ai」を発売
2020年1月22日PRESS RELEASE/報道資料
株式会社ニコン(社長:馬立 稔和、東京都港区)の子会社、株式会社ニコンインステック(社長:髙階 弘史、東京都港区)は、AIを用い、高度な画像処理や解析を実現する顕微鏡用AIモジュール「NIS-A NIS.ai」を発売します。
「NIS-A NIS.ai」は、顕微鏡画像の取得や解析、データ管理を一元化するニコンの画像統合ソフトウェア「NIS-Elements」専用のモジュールで、AIの一種であるディープラーニングを活用しています。画像処理や解析の判断基準となる教師データを学習させることで、研究者のワークフローを改善します。AI技術を用いて、短い露光時間で鮮明な顕微鏡画像を取得する「Enhance.ai」と、非染色の細胞画像から蛍光画像を生成する「Convert.ai」、ターゲットとする細胞を素早く抽出する「Segment.ai」の3機能を有します。
医学・生物学研究の分野では研究テーマの多様化・深化が進み、生命現象を詳細かつ高速にイメージングし、大量のデータを効率的に解析するニーズが高まっています。また細胞の観察においては、蛍光染色した細胞にレーザー光などを照射することによって生じる光毒性への影響を低減するニーズがあります。ニコンは、AIを活用してこれらのニーズに応えるソリューションを提供し、研究時間や作業負担の大幅な削減およびコストの低減に貢献します。
発売概要
商品名 | 顕微鏡用AIモジュール「NIS-A NIS.ai」 |
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価格(税別) | 500,000円 |
発売時期 | 2020年1月22日 |
主な特長
1. 短い露光時間で鮮明な顕微鏡画像を取得する「Enhance.ai」
短時間露光で取得した画像を「Enhance.ai」で画像処理することで、ノイズが少なく、蛍光シグナルが鮮明な画像を得られます。露光時間を短くできるために、細胞の速い動きをとらえられるうえ、細胞に対する光毒性を抑え、蛍光褪色を低減することが可能となります。
画像例
「HT1080細胞(ヒト線維肉腫)」に発現させた「mCherry(蛍光タンパク質)標識CD63(膜タンパク質)」の共焦点蛍光画像。10 msecの短時間露光で取得したノイズの多い蛍光画像に「Enhance.ai」を用いて鮮明な画像に改善することで、膜タンパク質が細胞内膜構造に濃縮されている様子とともに細胞形質膜への局在も明瞭化できる。
撮影協力:東京大学大学院理学系研究科 白崎 善隆先生
細胞提供:公益財団法人がん研究会がん研究所 芝 清隆先生
2. 非染色の細胞画像から蛍光画像を生成する「Convert.ai」
微分干渉観察や位相差観察など、非染色で取得した顕微鏡画像に対し、「Convert.ai」を用いて画像処理をすることで、あたかも蛍光染色によって取得したような画像を生成します。蛍光観察により生じる細胞への光毒性や時間・コストを抑えるうえ、長時間のタイムラプス観察を行うことが可能になります。
画像例
「HeLa細胞」の画像。微分干渉観察により取得した画像に「Convert.ai」を用いることで、蛍光画像を生成。蛍光染色を行うことなく、細胞核の局在を確認することができる。
撮像協力:北海道大学電子科学研究所技術部 小林 健太郎先生
3. ターゲットとする細胞を素早く抽出する「Segment.ai」
微分干渉観察や位相差観察などで取得した顕微鏡画像に対し、「Segment.ai」を用いて画像解析をすることで、様々な大きさや形状、種類の細胞が混在する標本の中から、ターゲットを素早く抽出します。従来は膨大な時間をかけ、顕微鏡画像をもとに目視で行っていた抽出作業を容易にかつ短時間で行うことが可能となり、ユーザーの作業負荷を大幅に軽減します。
画像例
「T3細胞(ヒト膵臓腺癌)」の細胞の画像。微分干渉観察により取得した、多様な細胞が混在する画像に「Segment.ai」を用いることで、ターゲットとする凝集されていない細胞のみを抽出でき、抽出した物質の計測や数の確認が可能になります。
撮影協力:Dr. Simon C. Watkins, Department of Cell Biology, University of Pittsburgh
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