光学顕微鏡と電子顕微鏡を連携し、アスベストの形態観察、計数、元素分析を行う「アスベストCLEMソリューション」を提案
2019年8月22日PRESS RELEASE/報道資料
株式会社ニコン(社長:馬立 稔和、東京都港区)の子会社、株式会社ニコンインステック(社長:高階 弘史、東京都港区)と日本電子株式会社(社長:大井 泉、東京都昭島市、以下「日本電子」)は、アスベスト(石綿)の同定を行う「アスベストCLEMソリューション」を提案します。これは、光学顕微鏡と電子顕微鏡を連携させることで、形態観察、計数、元素分析によってアスベストの同定を行う新しいソリューションです。
CLEM※は、広い範囲をすばやく観察し、座標情報や分子の局在情報が得られる光学顕微鏡と、高い空間分解能で観察し微細構造や元素の情報が得られる電子顕微鏡のそれぞれから取得した情報を相関させ、双方のメリットを活かした効果的な観察・分析をする方法です。近年、最先端のバイオサイエンス研究や材料開発研究において、ソフトウエアなどを用いて光学顕微鏡と電子顕微鏡を連携させ、効率的にCLEMを行うニーズが高まっています。
アスベストは、天然にできた鉱物繊維の総称で、不燃性、耐熱性、耐腐食性に優れることから、主に建材として使われてきました。しかし、アスベストは吸引することにより健康被害が生じる可能性があるため、2006年より製造、使用等が禁止されています。現在は、2006年以前に建築された建物の解体、改修工事をする際、アスベストの使用の有無について、各種法令に基づき、専門家による正確な事前調査が求められています。調査対象となる解体等の工事件数は今後増加し、2028年ごろには年間約10万棟になると予想されています。
このたび提案する「アスベストCLEMソリューション」は、ニコンの光学顕微鏡で分析対象となる繊維を見つけてマーキングし、日本電子の電子顕微鏡でソフトウエアによる元素分析を実施する新たな方法です。同一サンプルを用いて光学顕微鏡、電子顕微鏡で形態観察、計数、元素分析をすることで、さまざまな鉱物や繊維が混在する試料であっても、より正確な同定をサポートします。これにより、工事件数の増加によって需要がさらに増すアスベストの分析調査を効果的に行うことが可能になります。
なお、ニコンと日本電子が共同で2017年に開設した「JEOL-Nikon CLEMソリューションセンター」では、CLEMによるソリューションの体験提供や技術情報の受発信を行っています。「アスベストCLEMソリューション」をはじめとしたCLEMソリューションを体験いただける場をご用意しています。
ニコンは、アスベストの観察と元素分析による同定の作業効率を上げる「アスベストCLEMソリューション」を提案し、環境改善を通じて持続可能な社会の構築に貢献していきます。
- ※CLEM:Correlative Light & Electron Microscopy(光電子相関顕微法)の略。
「アスベストCLEMソリューション」による観察、分析のフロー
1. ニコンの光学顕微鏡のプロセス
2. 日本電子の電子顕微鏡のプロセス
「JEOL-Nikon CLEMソリューションセンター」の概要
住所 | 東京都昭島市武蔵野3-1-2 日本電子株式会社 |
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主な設置品目 | 光学顕微鏡(実体顕微鏡、工業用顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡システム)、電子顕微鏡(透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡、電子プローブマイクロアナライザ)、各種試料作製機器 |
お問い合わせ先 | 03-6262-3567 |
デモンストレーション | 事前予約制 |
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