生物顕微鏡用対物レンズ「CFI90 20XC Glyc」を発売
脳神経ネットワークの解明など、研究の最前線をサポート
2017年11月9日PRESS RELEASE/報道資料
株式会社ニコン(社長:牛田 一雄、東京都港区)の子会社、株式会社ニコンインステック(社長:木村 高、東京都港区)は、脳神経に関する研究分野において有用な、透明化処理※1を施した標本の観察に対応した生物顕微鏡用対物レンズ「CFI90 20XC Glyc」を発売します。「CFI90 20XC Glyc」は、高速多光子共焦点レーザー顕微鏡システム「A1 MP+ / A1R MP+」専用の対物レンズです。
「CFI90 20XC Glyc」は、広視野のため、広範囲を効率的に観察できます。色収差補正と、高い透過率により、標本の表面から深部まで、観察に最適な画像取得が可能です。また、長作動距離※2を実現し、大型標本の観察に対応。脳神経ネットワークの解明など、研究の最前線をサポートします。
なお、本製品は、「Neuroscience 2017 - Society for Neuroscience(北米神経科学会議)」(11月11日~15日、於:米国 ワシントンDC)に出展します。
- ※1透明化処理:標本内部における光の散乱を低減させる処理。
- ※2作動距離:観察対象物に焦点を合わせたとき、対物レンズの先端から観察対象物までの距離。作動距離が長いと、対物レンズ切替時に観察対象物と対物レンズの接触を回避できるなど、さまざまな長所がある。
発売概要
商品名 | 生物顕微鏡用対物レンズ 「CFI90 20XC Glyc」 |
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価格(税別) | 2,000,000円 |
発売時期 | 2017年11月末 |
開発の背景
バイオサイエンス分野では、生体組織の深部や、透明化処理を施した脳や臓器の標本を観察、研究するニーズが高まっています。このようなニーズに対し、高速多光子共焦点レーザー顕微鏡システム「A1 MP+ / A1R MP+」専用の「CFI90 20XC Glyc」を開発しました。広視野な観察と、標本深部における鮮明な画像取得により、研究をサポートします。
主な特長
1. 広視野と高い開口数(NA)を両立
同焦点※3を90mmに拡張することで、開口数(NA)が大きく、明るく高い描写性能を実現しました。また、広視野のため、広範囲を効率的に観察できます。
- ※3同焦点:焦点を合わせた時の対物レンズの胴付き面から物体面までの距離。
2. 色収差補正と高い透過率を実現
高速多光子共焦点レーザー顕微鏡システム「A1 MP+ / A1R MP+」で用いる約700nm~1,300nmの近赤外域に特化して、色収差を補正しました。ニコン独自の成膜技術であるナノクリスタルコートを採用し、高い透過率を実現。標本の表面から深部まで、観察に最適な画像取得を可能にします。
3. 大型の標本観察に対応
作動距離(WD)8.2mmを実現し、大型の標本観察に対応しています。切断した脳切片のみではなく、脳の全体を広範囲に顕微鏡で観察することが可能です。
4. さまざまな屈折率の透明化試薬が使用可能
透明化試薬の種類により異なる屈折率の変化(1.44~1.50)に対応する、補正環機能を搭載。観察深度や温度の変化によって生じる球面収差を補正し、常に良好な見え味が得られます。さまざまな研究に応じて、最適な透明化試薬を用いた研究開発を可能にします。
主な仕様
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型式 | CFI90 20XC Glyc |
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倍率 | 20X |
開口数(NA) | 1.0 |
作動距離(WD) | 8.2mm |
同焦点 | 90mm |
補正環 | 有(浸液屈折率補正) |
浸液屈折率補正範囲 | 1.44~1.50 |
対応顕微鏡 | 正立顕微鏡 Ni-E, FN1 |
画像例:高速多光子共焦点レーザー顕微鏡システム「A1R MP+」と、生物顕微鏡用対物レンズ「CFI90 20XC Glyc」を使用してマウスの脳を撮影し、スティッチングにより結合。
黄色蛍光タンパク質(YFP)の蛍光で標識した、形質転換マウス(YFP-Hライン)から全脳を取り出し、透明化処理を施した。
撮影ご協力:Alan Watson PhD, Simon Watkins PhD, Center for Biologic Imaging, University of Pittsburgh
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