研究用倒立顕微鏡向け 新パーフェクトフォーカスシステム (PFS) を発売
生きた細胞の長時間観察向け焦点維持装置
2012年10月15日PRESS RELEASE/報道資料
株式会社ニコン(社長:木村 眞琴、東京都千代田区)は、研究用倒立顕微鏡「ECLIPSE Ti」を用いた先端バイオイメージングをサポートする新しい焦点維持装置パーフェクトフォーカスシステム(PFS)の2機種を2012年12月より発売します。
なお、本製品は「Neuroscience 2012(第42回世界神経科学会議)」(10月13日~17日、於:米国ニューオーリンズ) に出展します。
発売概要
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発売予定 | 2012年12月 |
- ※「多光子レーザー顕微鏡」、「MP」:
多光子の英語表記が(Multiphoton)であることから、多光子レーザー顕微鏡は「MP」、多光子レーザー顕微鏡を使用した観察は「MP観察」と呼ばれています。
発売のねらい
研究用倒立顕微鏡とその周辺装置は、様々な技術革新により生命科学研究の発展に貢献してきました。近年では、超解像技術による細胞内部の微細構造の確認や、MP観察による脳の深層内部での活動の解析、iPS細胞の分化パターンの長時間観察など、様々な先端研究の現場で活躍しています。
高倍・高解像の顕微鏡技術が進化するなかで、特に長時間の経過観察(タイムラプス観察)時における、わずかな焦点ずれがデータの信頼性を低下させるという問題がありました。この問題を解決すべく開発されたのがPFSであり、リアルタイム補正によって焦点を正確に維持するシステムです。PFSは2005年の発売以来、生きた細胞(ライブセル)観察の新たなスタンダードと しての地位を確立し、2008年にはThe Scientist誌※の識者が選ぶ「トップ10イノベーション」に選出されています。
今回発売するPFSの新製品は、使用領域を拡大するとともに操作性を改善し、グレードアップした顕微鏡観察を提供します。
- ※The Scientist誌は、細胞分子生物学や遺伝学をはじめ、様々な分野のトピックを扱うライフサイエンスマガジンで、最新の科学的発見や研究のトレンド、革新的な技術などを掘り下げています。著名な科学者やジャーナリストにより記事が書かれ、先進的な研究者に読まれています。
主な特長
1. 焦点維持が可能な領域を拡大
長時間の経過観察(タイムラプス観察)や多点観察(マルチポイント観察)において焦点維持が可能な領域を拡大し、より界面から離れた観察ポイントでも焦点が合った状態を維持することができるようになりました。これにより従来よりも細胞のさらに内部の観察ポイントでの焦点維持が可能となり、脊椎動物のモデル生物として使われるゼブラフィッシュなど発生生物学の研究材料の観察にも威力を発揮します。
2. MP観察がより幅広い波長で可能に
MP(多光子レーザー顕微鏡)用タイプでは、赤外線レーザー使用時における長波長側での焦点追従が可能となりました。PFSの光学素子の電動挿脱機能を利用することにより、これまで焦点の追従が難しかった長波長(880~1300nm)での焦点ずれも最小限に抑えることが可能となります。
3. プラスチックディッシュにも対応し、コスト削減が可能
高価とされるガラスボトムディッシュに加え、比較的安価で細胞培養にも適しているとされるプラスチックディッシュにも対応しました。マルチウェルプレートを用いたスクリーニングのランニングコストを削減することができます。
4. 操作性の向上
小型化により、対物レンズの補正環の操作が容易になりました。また、完全電動化によって、全てのPFS機能をPCや外部コントローラーで操作することが可能となり、ライブセルの観察時に設置されるインキュベーター(保温・保湿装置)の開閉による温度環境の変化も最小限に抑えることができます。
PFS(パーフェクトフォーカスシステム)のしくみ
- 対物レンズを通して照射される赤外LED光が、カバーガラスと溶液の界面を自動的に検出。
- 長時間にわたって観察する際に観察ポイントの位置が変化しても、界面を基準にリアルタイムに対物レンズ位置を動かして追随し、常に焦点が合った像を確認。
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