共焦点レーザ顕微鏡システム「A1」シリーズの発売について
細胞内に起きている生命現象を逃さず捉える共焦点レーザ顕微鏡システム
2008年1月30日PRESS RELEASE/報道資料
株式会社ニコン(社長:苅谷道郎)は、細胞内に起きている生命現象を高速・高画質で画像取得が可能な共焦点レーザ顕微鏡システム「A1」シリーズを2008年2月1日から発売します。時間・空間・波長の分解能を飛躍的に高め、さらに新開発のハイブリッドスキャナにより、蛍光タンパク質などを用いた最先端研究の要望にも応えます。
発売概要
商品名 | 共焦点レーザ顕微鏡システム「A1」シリーズ |
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価格 | 「A1」標準セット: ¥37,265,700~(税込39,128,985円~) 「A1 R」標準セット: ¥44,265,700~(税込46,478,985円~) (研究用倒立顕微鏡「ECLIPSE Ti-E」との組合せ。仕様・構成により異なります) |
発売予定日 | 2008年2月1日 |
開発の背景
最近大きな話題となっているヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作成法開発の成功にみられるように、細胞を操作する技術は、再生医療分野など、臨床での応用に向けて急速に発達しています。そのような研究分野において細胞の形態や機能を捉え、細胞の分化過程や性質を明らかにする研究が盛んに行われています。具体的な観察対象は、細胞内小器官の動きや反応、細胞内の分子間の相互作用などで、これらの動きや変化を簡便に観察・解析したいという要望が高まっています。
今回発売する「A1」シリーズは、細胞内で起きている高速な変化、わずかな変化、長時間にわたる変化をより正確に捉えることのできる共焦点レーザ顕微鏡システムです。基本機能の強化、電動化、多様なオプション機能により、幅広いニーズに応えることのできる、ニコンの共焦点レーザ顕微鏡システムの最高峰として、生物、医学、医療などの研究機関、大学の共同研究施設などで行われている最先端研究に貢献します。
主な特長
1. 超高速画像取得を実現(A1 Rのみ)
7.8KHzの共振周波数を持つレゾナントスキャナを搭載し、毎秒230フレーム(512x64画素)での高速画像取得が可能です。また、独自の画像データサンプリング方式を採用して、高速でも乱れのない高画質を実現しました。
2. 光刺激と蛍光イメージングを同時に実行可能(A1 Rのみ)
レゾナントスキャナと制御ガルバノスキャナの2種類のスキャナを搭載して、これらのスキャナを単独、もしくは同時に使用することが可能です。同時に使用することで、標本の一部に刺激用レーザ光を照射しながら、細胞内での変化を高速に画像取得することができます。
3. 光の検出効率を高めて高画質を実現
ヘッド内のダイクロイックミラーに小さな入射角で光を入射させる独自の低角度入射法※を採用し、蛍光収率を30%アップしました。明るい画像が取得できるとともに、画像取得時の照射レーザ強度を減らしサンプル細胞に与えるダメージも低減します。また、ニコン独自の共焦点顕微法VAAS(Virtual Adaptable Aperture System、オプション品)を開発して、より明るくしかもフレアの少ない画像を取得することができます。
4. 高速スペクトル機能
AD変換などの信号処理の高速化により、32チャンネルの画像を毎秒16フレームも取得可能です。また、高速アンミキシングアルゴリズムの開発により、リアルタイムで、複数の蛍光標識をクロストーク(チャンネル間の蛍光漏れこみ)なしに分離して表示できます。
5. 使いやすさを追求した専用ソフトウェア「NIS-Elements(ナイスエレメンツ)C」
ニコン顕微鏡の基本ソフトウェアである「NIS-Elements(ナイスエレメンツ)」をベースに、共焦点顕微鏡のあらゆるアプリケーションに対応して、直感的で簡単な操作で使用できます。
- ※低角度入射法: 従来のダイクロイックミラーでは、ミラー表面に対して励起光や蛍光を45度で入射させていたが、膜の偏光依存性により、高精度な膜の生成は困難でした。新開発のダイクロイックミラーでは、ミラー表面に対して、入射する光をより垂直に近づけることで膜の偏光依存性を軽減し、高精度な膜を生成することが可能になりました。
主な仕様 A1/A1 R(高速タイプ)
横にスクロールしてご覧ください。
出入力ポート | レーザ入力ポート | 3 (FCx2、ダイレクトx1) |
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信号出力ポート | 4 (SMAx2、FCx1、VAASx1) | |
レーザ | 波長 | 405LD、マルチアルゴン (457, 477, 488, 514)、488DPSS、561DPSS、543HeNe、638LD、440LD |
制御 | 波長毎にパワー制御、帰還時OFF制御、ROI照射制御 | |
コンバインユニット | LU4 4レーザユニット(C-LU3EX 3レーザユニット追加可能) | |
検出器 | 蛍光検出 |
1) 検出波長範囲:400nm-750nm 2) 検出器:PMT (4基搭載) 3) フィルタホイール:3基(各6ポジション) |
透過光検出 | 1) 検出波長範囲:485nm-650nm 2) 検出器:PMT |
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スキャンヘッド | 走査 | 走査範囲:1Xズームでφ18に内接する正方形 |
標準画像取得 | スキャナ:制御型ガルバノスキャナ x2 画素サイズ:最大 4096x4096 画素 走査速度:毎秒 4フレーム (512x512 画素) ズーム:連続可変 1-1000X 走査モード:XY、回転XY、XYZ、XYt、自由ライン、ラインZ |
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高速画像取得 (A1 Rのみ) |
スキャナ:X軸 レゾナントスキャナ (共振周波数 7.8KHz) :Y軸 制御型ガルバノスキャナ 画素サイズ:最大 512x512 画素 走査速度:毎秒 30フレーム (512x512 画素) :毎秒 230フレーム (512x64 画素) :ライン速度 (15,600ライン/秒) ズーム:7ステップ (1X, 1.5X, 2X, 3X, 4X, 6X, 8X) 走査モード:XY、XYZ、XYt、ライン、ラインZ 取得方式選択:標準画像取得、高速画像取得、刺激同時画像取得 |
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ダイクロイックミラー | 方式:低角度入射法 ポジション:8 |
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ピンホール | 可変範囲:12um-256um (1次像面換算) | |
スペクトルディテクタ (オプション) |
チャンネル数 | 最多 32チャンネル |
画像解像度 | 最大 2048x2048 画素 | |
スペクトル画像取込速度 | 毎秒 4フレーム (256x256画素)、1000ライン/秒 | |
取得波長範囲(分解能) | 80nm (2.5nm)、192nm (6nm)、320nm (10nm) | |
倒立顕微鏡 Ti-E Zステップ | 0.025um | |
その他オプション | 電動XYステージ、高速Zステージ、VAAS |
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