2012年3月期第3四半期 決算説明会・主な質疑応答
決算説明会での主な質疑応答を掲載しています。
全社関連
Q. タイ洪水復旧に関する設備投資と保険適用について
A. 11月下旬に排水が完了したのち被害状況の精査を進めた結果、生産に必要な機械装置の入れ替え、建物等インフラの修復に総額300億円程度の設備投資が必要となることが判明しました。これらの設備投資のうち保険会社との合意のうえ確定した額について、今期および来期に保険金収入を得られることになります。
Q. タイ洪水の来期業績への影響について
A. 損失額はほぼ今期で固まり、今後も待機中の従業員への休業補償が数億円レベルで発生する可能性がありますが、来期以降の業績に大きく影響するものではありません。また、一眼レフカメラの生産は4月以降フル生産体制に復帰させる計画であり、生産減少による販売機会の損失も無くなることになります。
精機事業
Q. 半導体・液晶露光装置市場について
A. 2012年の市場規模については、前回11月に半導体露光装置市場は設備投資の抑制によって今年から3-4割程度減少すると見ていましたが、徐々に明るさが見えてきており2-3割の減少になるとの見方に変更しています。液晶露光装置市場では好調であったスマートフォン向け設備投資が減速していることから、2012年の市場規模は2011年より4割程度減少するとの見方を維持しています。
Q. 精機事業の収益について
A. 当四半期の液晶露光装置販売は、前年同期には7世代以上の装置割合が高かったものが、大型パネル向け需要が減退し中小型パネル向け装置にシフトしました。主にこのために売上高は前年同期比4%と微減収となりましたが、上期に引続いてリードタイム削減などの収益構造改善が進んだことや「NSR-S620D」のイニシャルコストが低下したことで、営業利益は前年同期比2倍以上の増益となりました。通期については、投資繰り延べにより液浸露光装置で1台減少することなどから売上高を50億円下方修正しますが、営業利益は、引き続き収益構造改善の効果もあり据え置きます。
Q. 半導体露光装置競争力の強化について
A. ArF液浸露光装置「NSR-S620D」はお客様先でのウエハ処理枚数、稼働率ともに確実に向上してきています。新しくリリースする「NSR-S621D」も「NSR-S620D」からの安定稼働性能を継承、重ね合わせ精度もさらに向上させ、先ごろ発売したArFドライ露光装置「NSR-S320F」とも合わせ、製品競争力・ラインナップを一層強化して受注増につなげていきます。
映像事業
Q. 映像事業の収益について
A. 第3四半期はタイ洪水被害の影響により、一眼レフカメラと交換レンズの生産・販売が減少しました。一方、新製品「Nikon 1」のボディとレンズの販売が好調に推移、コンパクトカメラは市場が減少する中で拡販に注力して四半期の販売台数として過去最高を達成し、これらの結果前年同期比減収となりましたが、営業利益は黒字を確保することができました。レンズ交換式カメラの年間販売台数は、「Nikon 1」が好調であるものの一眼レフカメラへの洪水被害の影響が大きく据え置きますが、交換レンズとコンパクトカメラは第3四半期の販売実績も踏まえて上方修正します。通期の売上高・営業利益は、これらの販売台数増加などを踏まえて売上高を100億円、営業利益を50億円上方修正しました。
Q. コンパクトカメラの販売について
A. コンパクトカメラについては、商品力を向上させることをベースに広告・宣伝を主体としたマーケティング戦略を実施し、開発・マーケティング・販売力が一体的に向上してきました。その成果として、市場が全地域で前年同期比マイナスとなる中、当社は欧州では上期に続いてシェア1位、米国でも2011年は年間シェアでトップに僅差のシェアとなりました。また平均価格についても、市場全体での出荷価格が下がっている中で、当社製品の平均価格は上昇しました。
Q. Nikon1の販売について
A. 発売時にはNikon1のセンサーサイズについて否定的な評価もありましたが、お客様が手に取るにしたがってAF応答・動画性能、画質、サイズなど、その良さを実感して高く評価されています。そうしたことから、Nikon 1は、J1モデルが12月には米国、欧州11カ国合計、中国で台数シェア1位となるなど、いわゆるミラーレスカメラの市場での確実な需要喚起につながっていると考えています。今後も魅力ある機能とラインナップをさらに充実させ、市場を拡大していきます。