コーポレートガバナンス・ガイドライン

ニコングループのコーポレート・ガバナンスに関する基本的な方針および考え方を、「コーポレートガバナンス・ガイドライン」として定めています。

ニコングループ コーポレートガバナンス・ガイドライン

(2024年6月24日改定)

企業理念

ニコングループは、企業理念である「信頼と創造」を変わることのないテーマとして、すべての活動の根幹とし、社会の持続可能な発展に貢献することをめざします。

コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方

  • ニコングループの企業理念を踏まえ、誠実・真摯な姿勢で、株主に対する受託者責任、お客様、従業員、事業パートナーおよび社会等のステークホルダーに対する責任を果たし、透明性の高い経営を行います。
  • コーポレートガバナンス・コードの趣旨に則り、経営のさらなる効率化と透明性の向上、業務執行の監督機能の一層の強化により、ニコングループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ります。

1. 株主の利益・平等性の確保

(1) 株主の権利の尊重

当社は、株主の正当な権利行使を尊重するとともに、株主の実質的な平等性を確保します。
また、当社は、株主総会における議決権の行使は株主の重要な権利であることを認識し、株主総会における権利行使に係る適切な環境整備を行います。

(2) 資本政策の基本的な方針

当社の利益配分は持続的成長に向けた投資(戦略投資、R&D、設備投資)を強化するとともに、株主重視の観点から安定的な配当を行うことを基本とし、同時に柔軟な株主還元政策により中長期的な視点に基づく最適な資本配分を実現する方針とします。

(3) 政策保有の方針

当社は、政策保有株式として上場株式を保有する場合、政策保有株式毎に、その事業戦略上の意義および合理性、株主総利回りや関連取引収益などの保有に伴う便益・リスク、当社の資本コストその他の観点も踏まえ、取締役会において定期的に検証・評価を実施し、その結果、保有の必要性・合理性が低いものについては売却の可能性を含め、慎重に検討します。

また、政策保有株式の議決権行使については、当社および発行会社の中長期的な企業価値の向上に資するか否か等の観点より、個別議案毎に賛否を判断し、行使します。特に、発行会社の企業価値を毀損する可能性の高い場合、発行会社において重大な企業不祥事が発生している場合などには、慎重に議決権行使を判断します。

2. 株主以外のステークホルダーとの適切な協働

ニコングループは、企業理念のもと、従業員をはじめとする会社関係者、顧客・取引先・債権者・地域社会等のステークホルダーとの適切な協働に努めます。

ニコングループの社会的責任に対する基本姿勢およびニコングループの役職員が法令や社内規則に従い高い倫理観をもって良識ある行動をとるための基準を示した「ニコン行動規範」を制定し、企業倫理意識の浸透・定着を図るとともに、健全かつ公正な企業活動を行い、ステークホルダーからの信頼を得るように努めます。

「コンプライアンス委員会」が企業行動の遵法性、公正性、健全性を確保するための活動を定常的に行います。また、「サステナビリティ委員会」が、社会的責任を含むサステナビリティを巡る課題について、改善のための活動、教育・啓発を行います。

さらに、「ニコン環境長期ビジョン」を掲げ、健全な環境を次世代に引き継ぎ、社会の持続的発展を可能にするため、「サステナビリティ委員会」および傘下の「環境部会」が環境保全活動を進めます。

社会規範、企業倫理に反する行為を防止・是正し、ニコングループのコンプライアンスを徹底するために「倫理ホットライン」などの報告相談窓口を設置・運用します。なお、報告相談窓口への報告を理由として不利益な扱いを受けることはありません。

当社では、確定給付企業年金の運用にあたり、CFOを長とし、財務や人事の部門長から構成される年金委員会を設置して、資産の運用方針を定めています。
実際の資産運用は運用受託機関に委託しており、その運用状況は四半期に一度、運用報告書の提出を受けモニタリングしています。また、年金委員会において定期的に政策的資産構成割合の見直しを実施するなど、年金資産の適切な運用および管理を行っています。

3. 情報開示の充実

当社は、「信頼と創造」を企業理念とし、企業情報を積極的かつ公正に開示することを基本姿勢とします。東京証券取引所の適時開示規則の順守はもちろん、経営姿勢や事業活動、製品および技術情報などを広く提供することで、株主・投資家の皆様のニコングループへの理解を一層深めていただくための活動を推進します。

4. コーポレート・ガバナンス体制

当社は、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を目指し、権限委譲による執行責任の明確化と意思決定の効率化を図るとともに、取締役会による監督機能をより一層強化することができる監査等委員会設置会社を採用しています。

(1) 取締役会

1) 取締役会の役割

取締役会は、法令および定款に定められた事項、ならびにニコングループの重要事項について意思決定し、取締役の業務執行の監督を行います。

当社では、経営陣への委任の範囲を明確化し、経営陣による迅速な意思決定と業務執行を可能とするため、取締役会付議・報告基準において、取締役会に付議すべき事項を具体的に定めます。例えば、経営の基本方針、中期経営計画、年度計画、内部統制システムの基本方針、一定の金額水準を超える投融資等の重要な業務執行の決定については、取締役会で行います。

2) 取締役会の構成・規模

当社は、経営戦略の実現に向け、取締役に特に期待するスキルとして、企業経営・経営戦略、内部統制・ガバナンスといった知見・経験や、当社の事業特性・課題に関する知見・経験を選定し、指名審議委員会における審議のうえ、決定しています。これらのスキルを各取締役がバランスよく保有し、多様性の確保および適切な員数の観点も踏まえて、取締役会全体として実効性を発揮できる構成としています。
また、取締役会の監督機能をより強化するため、独立性を有する社外取締役を2名以上選任します。

3) 取締役会の運営・情報入手・支援体制

当社は、取締役に対して、その役割および責務を実効的に果たすことができるよう、適切かつ必要な情報提供に努めます。また、取締役会においては、建設的な議論や意見交換が可能となるよう、取締役会出席者への関連資料の事前配付、また、必要に応じて社外取締役への事前説明を実施します。

4) 取締役会の実効性評価

取締役会は、毎年その実効性について分析・評価を行い、その評価結果の概要を開示するとともに、これを踏まえさらなる機能向上に向けた施策に取り組みます。

(2) 監査等委員会

1) 監査等委員会の役割

監査等委員会は、独立した機関として、監査等委員以外の取締役・執行役員(エグゼクティブ・フェローその他執行役員に準ずるものを含む。以下「執行役員等」という)の業務執行状況を監査・監督します。そのため、監査等委員は取締役会のほか、経営委員会等の重要会議へ定期的に出席し、経営および取締役に対する監査・監督を行います。

2) 監査等委員会の構成・規模

監査等委員会は、定款に定める5名以内の範囲で、実効性の高い監査・監督の実現のための適切な員数を維持します。また、監査等委員には、適切な経験・能力および財務・会計・法務に関する知識を有する者を選任し、特に、財務・会計に関する十分な知見を有する者を1名以上選任するとともに、監査体制の独立性および中立性を一層高めるため、その過半数を、独立性を有する社外取締役で構成します。

(3) 指名審議委員会

1) 指名審議委員会の役割

指名審議委員会は、取締役会の任意の諮問機関として、取締役および執行役員等の選解任の決定が透明性・客観性をもってなされることを目的に、最高経営責任者・社長執行役員・取締役の選解任基準の策定および候補者の指名、取締役会の構成の検討、執行役員等人事の監督等を行います。

2) 指名審議委員会の構成

適切な監督を実施するという観点から、委員の過半数を社外取締役とするとともに、委員長も社外取締役とします。

(4) 報酬審議委員会

1) 報酬審議委員会の役割

報酬審議委員会は、取締役会の任意の諮問機関として、役員報酬が透明性・客観性および業績との連動性をもって定められることを目的とし、役員報酬の方針および関連諸制度の審議、提言を行います。

2) 報酬審議委員会の構成

適切な監督を実施するという観点から、委員の過半数を社外取締役とするとともに、委員長も社外取締役とします。

(5) 独立社外取締役会議

社外取締役が自由に意見交換・議論を行う場として、すべての社外取締役で構成される独立社外取締役会議を設置しています。独立した客観的な立場に基づき意見交換を行うことで、取締役会の課題や審議事項について取締役会に提言する役割を担い、取締役会における議論の活性化を図ります。

(6) 役員の選解任方針・手続

1) 選任方針

取締役候補者には、当社の経営環境を理解し、高い視点・グローバルな視野から、ニコングループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与し、取締役会の構成員として社会的信頼に応える資質を有する者を指名します。なお、候補者の指名に当たっては、候補者が特定の人種、ジェンダー、国籍または出身国であること等を判断要素としてはならないこととしています。さらに、社外取締役候補者は、他社における経営者としての豊富な知識・経験等を有し、あるいは弁護士、公認会計士等の専門家としての専門知識・経験等を有し、業務執行から独立した公正で客観的な立場から経営監督機能を担う資質を有する者を指名します。

なお、執行役員候補者には、担当領域において広い見識、豊富な経験、リーダーシップおよび改革を推進する能力等を有しており、その能力等を戦略的に発揮することで業績向上に貢献できる資質を有する者を、また、エグゼクティブ・フェロー候補者には、特定の専門分野での卓越した専門知識や経験および顕著な功績を有するとともに、会社経営に貢献し、実績を上げている者を、それぞれ選任します。

2) 社外取締役の独立性の判断基準

当社は、会社法上の社外取締役の要件に加え、以下の要件に該当しない場合には、当該社外取締役に独立性があると判断します。

  1. a)候補者が、当社グループの在籍者または出身者である場合
  2. b)候補者が、当社の「主要な取引先※」若しくは「主要な取引先」の業務執行者である場合
  3. c)候補者が、主要株主若しくは主要株主の業務執行者である場合
  4. d)候補者が、社外取締役の相互就任の関係にある先の出身者である場合
  5. e)候補者が、当社が寄付を行っている先またはその出身者である場合
  6. f)候補者の二親等以内の者が当社グループまたは当社の「主要な取引先」の重要な業務執行者である場合

※「主要な取引先」とは、以下に該当する取引先をいうものとします。

  1. (1)過去3年間の何れかの1年において以下の取引がある取引先
    • 当社からの支払いが取引先連結売上高の2%若しくは1億円のいずれか高い方を超える取引先
    • 当社への支払いが当社連結売上高の2%若しくは1億円のいずれか高い方を超える取引先
  2. (2)当社より、過去3事業年度の平均で、年間1千万円を超える報酬を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家
3) 選任手続

取締役候補者の指名に関しては、指名審議委員会が審議を行い、その審議結果に基づき、取締役会の決議により決定します。
また、執行役員等の選任に関しては、指名審議委員会が事前に候補者の妥当性を検証したうえで、取締役会の決議により決定します。
なお、監査等委員である取締役候補者の指名にあたっては、事前に監査等委員会の同意を得るものとします。

4) 解任方針および手続

当社の取締役および執行役員等が、指名審議委員会の策定した解任基準に該当した場合には、指名審議委員会および取締役会にて解任の是非を検討します。

5) 最高経営責任者の選解任・後継者計画

当社の最高経営責任者の選解任・後継者の計画的な育成については、当社が持続的成長を実現するうえでの最重要課題と位置付けており、指名審議委員会が選解任基準を策定し、後継者候補の絞り込み、育成状況のモニタリング、後継者の指名などを行います。

(7) 報酬制度

報酬制度については、以下のような方針および手続によるものとします。

1) 基本方針

役員報酬は、以下の基本的な事項を満たすように定める。

  • 企業価値および株主価値の持続的な向上への動機付けとなり、意欲や士気を高めること
  • 優秀な人材を確保・維持し、啓発・報奨すること
  • 報酬制度の決定プロセスは、客観的で透明性が高いこと
2) 報酬審議委員会による報酬額・算定方法の審議を踏まえた決定

職責に応じた適切な水準および体系とするため、報酬審議委員会が役員報酬の方針の策定、関連諸制度の審議・提言等を行い、当社業績、事業規模などに見合った報酬額を設定するため、グローバルに事業を展開する国内の主要企業の報酬水準を考慮する。

監査等委員以外の取締役および執行役員等の個人別の報酬については、報酬審議委員会において審議を行い、その審議結果に従って、取締役会が決定する。

また、監査等委員である取締役の個人別の報酬については、監査等委員である取締役の協議によって決定する。

3) 報酬体系および業績連動の仕組み
  1. a)業務執行取締役および執行役員等の報酬体系は、原則として金銭報酬(月例定額報酬および賞与)ならびに株式報酬(業績連動型株式報酬および譲渡制限付株式報酬)で構成される。賞与および各株式報酬の標準支給額は、各人の月例定額報酬に、役位・職責に応じた比率を乗じた金額とし、上位の役位・職責ほど当該割合が高まる設計とする。なお、月例定額報酬を1とした場合の各報酬の比率の範囲は以下の通りとする。また、株式報酬に関しては、各事業年度毎に、株式の希薄化率が1%を超えない範囲内で支給するものとする。
    賞与 業績連動型株式報酬 譲渡制限付株式報酬
    0.6~0.7 0.1~0.225 0.3~0.45

    金銭報酬

    月例定額報酬
    業績に連動しない金銭報酬とし、毎月支給する。
    賞与
    単年度における当社全体のROEおよび営業利益、各担当部門の資本効率、収益性等の目標達成度および定性評価ならびに役員毎に設定した課題の定性評価を踏まえた報酬審議委員会による評価に基づき、役位等に応じて算出される標準支給額に対して0~200%の範囲で取締役会において決定される金銭報酬とし、原則として毎年6月に支給する。

    株式報酬

    業績連動型株式報酬
    株主との価値共有および中長期的な業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、別途取締役会にて決定する複数事業年度毎に設定する中期経営計画の最終事業年度の当社全体のROEに加え、中期経営計画期間中の各事業年度における当社全体の売上収益、営業利益率、戦略課題の目標達成度を踏まえた報酬審議委員会による評価に基づき、役位等に応じて算出される基準の0~150%の範囲で取締役会において決定される株式報酬とし、原則として、当社が掲げる中期経営計画の対象期間に含まれる各事業年度の終了後最初に到来する6月に譲渡制限付株式またはその時価相当額の金銭を交付する。当該譲渡制限付株式は、当社の取締役および執行役員等のいずれの地位からも退任するまでの期間中の処分が原則として禁止される。
    譲渡制限付株式報酬
    株主との価値共有および長期的な業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、原則として毎年4月に譲渡制限付株式を交付する。当該譲渡制限付株式は、当社の取締役および執行役員等のいずれの地位からも退任するまでの期間中の処分が原則として禁止される。交付する譲渡制限付株式の数は、取締役会の決議により役位等に応じて算出される一定額を、当社株式の時価をもって除した数を原則とする。
  2. b)非業務執行取締役の報酬体系は、月例定額報酬のみとし、毎月支給する。
4) 返還請求

当社の取締役(監査等委員である取締役を除く)および執行役員等に、職務の重大な違反もしくは社内規程の重大な違反があることが判明した場合、または、当社に許可なく同業他社等に就職等(当該同業他社等の取締役および執行役員もしくはそれに準ずる役職に就任することおよび当該同業他社等の従業員として就職すること等)をしていることが判明した場合には、当社は、当該取締役または執行役員等に対して交付および給付した当社株式および金銭の全部または一部の返還を求めることができるものとする。

(8) 取締役のトレーニング方針

当社では、取締役が就任する際には、取締役に求められる役割・責務を十分に理解するための研修の機会を提供します。また、就任後も、取締役の役割・責務に係る理解をより深めるため、弁護士等の外部専門家を講師とした勉強会や外部団体が主催するセミナーへの出席の機会等を提供します。

(9) 関連当事者との取引

当社は、関連当事者間の取引を行う場合には、当社や株主共同の利益を害することがないよう、以下に示す適切な手続を経た上で実施します。

  • 重要性等を鑑み必要に応じて取締役会の決議を経る。
  • 特別な利害関係を有する役員等を決議から除外する。
  • 一般的な取引条件であるか確認する。
  • 必要に応じて社外取締役等から意見を聴取する。

5. 株主との対話

(1) 株主との建設的な対話

当社では、株主との建設的な対話を目指し、担当すべき役員を定めるとともに、必要に応じ社内の関係部門が連携して情報の集約および情報共有を行います。株主との対話に際しては、合理的な範囲で経営陣幹部または担当役員が面談に臨み、面談で得られた意見等は経営陣幹部において共有に努めます。なお、面談に当たって、インサイダー情報については、社内の規定に則り一切伝えないこととします。

また、機関投資家向け、個人投資家向けの説明会を実施するほか、ホームページ等を通じた情報発信を行うなど、面談以外の方法による情報発信の充実にも努めます。

(2) 経営戦略や経営計画の策定・公表

当社は、中長期的な企業価値の向上を目指し、収益計画や資本政策の基本的な方針や重点施策等を明示した中期経営計画を策定し、投資家向けの説明会やホームページ等において説明します。

6. 本ガイドラインの改廃

本ガイドラインの改廃は取締役会決議によって行います。