「ありたい姿」を描く、ブランド構築のためのデザイン
- Activity
コンポーネント番号: 12
コンポーネント番号: 1
プロジェクト概要
コンポーネント番号: 3
企業が社会から求められる存在であり続けるためには、高い目標を掲げ、社員がひとつになって進んでいくことが重要。ここにも、デザインの力が活かされます。ニコンのデザインは、経営に深く関わり、ニコンという企業のブランド価値を高めていくための重要な役割も担っています。
コンポーネント番号: 9
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川﨑 純一
コーポレートブランディンググループ
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不破 健男
エクスペリエンスデザイングループ
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原 美帆
コミュニケーションデザイングループ
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山口 美耶子
UI&インタラクションデザイングループ
コンポーネント番号: 12
コンポーネント番号: 2
2030年、人と機械が共創する社会の中心企業へ。
コンポーネント番号: 3
2030年に「人と機械が共創する社会の中心企業」になる。ニコンは将来的なありたい姿を、そう定めました。これは、将来像から逆算して実現のための方法を探るという考え方に基づいて定めたもので、会社の中長期的な方針策定にも密接に関連しています。
社会はどのように変化していくのか。ニコンは100年以上培ってきた光利用技術、精密技術を活かしてどんな価値を提供していくべきなのか。デザイナーたちも含む多くのメンバーと経営層が議論を重ね、2022年4月に「中期経営計画」として発表されました。
ニコンが新たな領域に向かうためには、多くの社員が想いをひとつにし、多様な技術やノウハウを結集させていくことが求められます。目指す姿を広く伝え、共感してもらうためにも、デザインにできることがあります。
コンポーネント番号: 4
コンポーネント番号: 3
「はじめにこのお話を聞いた時は、困難も多そうだと感じました。でも、経営陣と直接対話をしながらコミュニケーションの方法を考えられるというのは、インハウスで働くデザイナーにしかできない仕事です。経営の想いも、社員の気持ちも置き去りにしない。両者の視点を大切にしながら、ニコン社内にいる私たちだからこそできる伝え方を目指そうと考えました」コミュニケーションデザイナーの原はそう語ります。
コンポーネント番号: 12
コンポーネント番号: 2
計画の先に実現される未来
コンポーネント番号: 3
2030年に「人と機械が共創する社会の中心企業」になる。この目標にもっと親しんでもらうために、まずは「人と機械の共創」がどういった世界観なのか、共創した先に何が実現されるかなどを深く掘り下げることからスタート。
コーポレートブランディンググループの川﨑は、人と機械の共創という言葉の奥にあるものについて、こう話します。
「経営陣との議論を重ねる中で話していたことがあります。機械が人の代わりにすべてをやってくれたり、人間が機械に支配されてしまったりするのは、私たちの目指す社会とは異なるというものです。機械の進化によって、人間がさらに成長できる。よりクリエイティブな仕事に集中できる。人と機械が手を携えて、共に創造に取り組める世界こそが、ニコンの実現したい未来なのだと思うのです」
コンポーネント番号: 5
コンポーネント番号: 3
さまざまな議論の末に、表現に落とし込むための「未来の選択肢を広げよう」というコミュニケーションのコンセプトが導き出されました。
「多様な価値観に応えられるよう、無数に広がる選択肢をつくりたい。想像の領域を広げ、新しいものや考え方が自由に生まれる場所をつくりたい。新しい方向へと進化するニコンだけでなく、ニコンがいることで実現されるサステナブルな社会の姿を表現した、この言葉に行き着きました」と話すのは、未来起点デザインの取り組みをリードしている不破です。
技術そのものではなく、それを使う人間に着目したコンセプトがこうしてできあがっていきます。
コンポーネント番号: 4
コンポーネント番号: 12
コンポーネント番号: 2
人と機械の新たな関係を描き出す
コンポーネント番号: 3
コンセプトが完成したら、いよいよこれを目に見えるかたちにしていきます。
未来という、まだ訪れていない世界を描くにはどの手法が適しているのか。抽象的に描けば想像の余地が広がりますが、実際の仕事との関係性は感じづらくなります。現在の延長線上にあるものとして具体的に描くこともできますが、イノベーションを起こすためには、やや物足りない表現になることも。
今回のコンセプトメイクからアウトプットまでをコラボレーションした制作会社日本デザインセンターとともにさまざまな可能性を模索。ニコンが社員たちと実現したい世界をイラストで表現する方向性を選びました。
「完成したイラストを見て、今までのニコンにはない表現に仕上がったと思いました。これまで築いてきた技術や企業としての想いを大切にしながらも、新しい領域に取り組んでいくニコンの姿勢。そして人と機械が共創する社会。これらをイラストの内容だけでなく、デジタルとアナログの両方を感じるテイストからも上手く表現できたのではないかと思います」
コンポーネント番号: 5
コンポーネント番号: 5
コンポーネント番号: 3
完成したイラストは、コンセプトブック(PDF:2.6MB)やウェブサイト、社内ポスター、品川駅のサイネージや看板などさまざまな制作物に展開。実際にこれを見た社員の意見に耳を傾けながら、次に向けた取り組みも始まっています。
「実際のものづくりに携わる方にとっても、今回の『ありたい姿』は大切なもの。皆さんがそれぞれの立場でどのように感じるのかを知るために、従業員へヒアリングに行きました。皆さんからポジティブな意見も、改善できる点も聞けたことはとても有意義でした」と、UIデザイナーの山口。
共感を得るためにあらゆる方法を模索して、トライする。それはとても些細なことに見えますが、そうしたきっかけづくりがこの先のニコンの未来につながっていくはずです。
コンポーネント番号: 4
コンポーネント番号: 12
コンポーネント番号: 2
クリエイターの声
コンポーネント番号: 10
私たちの仕事も、いつか機械に取って代わられるのかな、とふと考えることもあります。ですが、人にしかできないことも必ずあります。人ならではの良さをもっと磨いて、機械と上手く一緒に生きていくことが必要なのかもしれません。そうしたことを表現にも反映できたように思いますし、会社の重要な部分も担うプロジェクトはこれまでにない新しい経験で、とても光栄でした。
飯塚 逸人さん
日本デザインセンター クリエイティブディレクター/コピーライター
私が特に共感したのは、「治らなかった病気を治せるようにしていく」というヘルスケア領域の経営計画です。自身の経験に照らし合わせても、「病気が治る」というのはアイデンティティを大きく変えるようなインパクトのあるものだと感じます。ニコンの技術があることで、人の新しい未来が開ける。そんな可能性や希望を共有できるものにしたいと思いました。
佐藤 優海さん
日本デザインセンター コピーライター
見る人を引きつけるのは、ただきれいなだけのものではなく滲んでいたり、かすれていたり、ぼやけていたりといった、ある種の「ヒューマンエラー」が含まれたものだと信じています。こうした考えから、今回はマンガ用のペンで主線を描き、デジタルで仕上げるという方法を採りました。私が日頃考えていることとニコンの想いが共鳴して生まれてきたイラストに仕上がったと思っています。
宮岡 瑞樹さん
イラストレーター
コンポーネント番号: 12
コンポーネント番号: 2
「ブランド構築のためのデザイン」これからの挑戦
コンポーネント番号: 3
人はどんなことを考えていて、心の奥で何を欲しているのか。これを考え抜き、表現へと昇華させるのはデザイナーのミッション。製品開発にとどまらず、その力は「経営」にも活かされていきます。
「ニコンというブランドを確かなものとしていくためには、社外に向けた発信は大切です。しかし、それ以上に社内とのコミュニケーションも大切だと考えています。自分たちがどうありたいのか、どうしたいのか、明確になってこそ企業の価値は高まるものだと考えるからです」川﨑はそう話します。
「すべての社員がニコンの方針に興味を持ち、理解し共感してもらえたら。一人ひとりの持つ力が掛け合わされて、会社としてもっと大きな力を発揮できるようになるはず。コンセプトブックやウェブサイトはその入口に過ぎません。これからは実際の技術や取り組みなど、実現に向けた過程を継続的に紹介することにも力を入れながら、社員の想いに寄り添った発信をしていきたいです」
このチャレンジは、まだ始まったばかり。これからもデザインの力を使って、社内はもちろん、社外の人にも共感してもらえるような発信をしていきます。そして、さまざまな想いや技術を結集させ、人と機械が共創した先のより良い社会の実現に取り組んでいきます。ニコンデザインの挑戦は続きます。
コンポーネント番号: 17
プロジェクトメンバー
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川﨑 純一
コーポレートブランディンググループ
制作物を作る過程で、私たち自身もニコンの強みが何なのかを考える良いきっかけになりました。議論の中では、さまざまな意見が出ました。「人と機械の共創」という言葉から、これだけ多くの解釈が生まれるのか、という気づきも多く生まれました。私たちが議論を通じて深めた理解を社内に伝えながら、少しずつ会社全体の意識をひとつにしていけたらと考えています。
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不破 健男
エクスペリエンスデザイングループ
私がふだん取り組んでいるのは、未来の社会や技術のあり方を、デザインの力で具現化する仕事。デザインには、未来の人々の価値観や行動をより良い方向に変える力があると信じていますし、今回のプロジェクトを通じて少しでも社員の気持ちにポジティブな影響を与えられていたら嬉しいです。もちろん、人の気持を変えることは簡単なことではありません。だからこそ、これからも「ありたい姿」が描く未来をみんなで語り合い、考えを深めていきたいと考えています。
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原 美帆
コミュニケーションデザイングループ
これまで、経営に関わる仕事にいくつか携わってきました。中でも、今回のプロジェクトは特に学べることが多かったプロジェクトのように思います。特に大切にしたのは「丁寧に伝える」ということ。立場の異なるさまざまな人が完全に納得する表現というのは難しいものですが、だからこそ一人ひとりの背景にあるものに想いを至らせながら、コミュニケーションを作り上げていきました。プロジェクトは始まったばかりですが、まずは心のなかに「何か引っかかる」ものを作れたのではないかと考えています。
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山口 美耶子
UI&インタラクションデザイングループ
「ありたい姿」はニコンの中期経営計画で掲げられたものですが、会社としての姿勢を社内外に発信するものであり、どうしても難しい内容になりがちです。「ちょっと目を通しておこうかな」というレベルにとどまってしまうのも、無理はないと言えます。そこで、社員から率直な意見を募りつつ、少しでも親しみを持って触れてもらえるものを目指しました。今回の制作物だけですべての課題を解決できるわけではありませんが、長い道のりもこの一歩から。これからもニコンの目指すビジョンを発信し続けていくことが大事だと思います。
コンポーネント番号: 13
※所属・仕事内容は取材当時のものですが、一部修正しています。
コンポーネント番号: 12