Interviews

何をどう伝えるか。
その答えは、会話から生まれる。

大橋 良平

  • コミュニケーションデザイン
  • 空間デザイン/展示会・イベント
大橋 良平

プロフィール

  • コミュニケーションデザイナー

    広告制作会社、家電メーカーでグラフィックデザイン、ブランディングを経験後、2023年にニコンに入社。イベントや展示会におけるクリエイティブを担当している。

コンポーネント番号: 21

01

仕事内容

仕事内容

コンポーネント番号: 22

ニコンをどう見せたいか。
相手にどう感じてもらいたいのか。

コンポーネント番号: 3

私の仕事は端的にいえば、「ブランドとしてニコンをどう見せるべきか」を考える仕事です。私の所属しているチームでは、ニコンが主催するイベントや、展示会ブースの設計を行っています。なかでも私が担当しているのは、「CES」 というイベントです。「CES」は世界中の最先端技術が一堂に会する世界最大規模のイベントで、毎年1月にラスベガスで開催されます。入社したタイミングからプロジェクトに参加し、今年で2年目。前回は出展ブースの一部を担当していましたが、今回はニコンのブース全体のクリエイティブを任せていただきました。

イベントへの出展が決まったら、まず行うのが全体のコンセプトの設計です。「このイベントになぜ出展するのか」、「経営層がいま発信したいメッセージは何なのか」、「お客様をどんな気持ちにさせたいのか」、さまざまな方向から深掘りしていきます。具体的な展示内容を考えるのは、その後から。打ち出したいイメージに沿って、どのような製品や技術を取り上げるべきなのかを検討。その上で、それらを展示の中でどう表現したらコンセプトを体現できるのか、お客様により魅力的に感じてもらえるのかを考えていきます。

コンポーネント番号: 4

コンポーネント番号: 21

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入社理由

入社理由

コンポーネント番号: 22

デザイナーとして、
ブランドを背負える存在に。

コンポーネント番号: 3

新卒で入社したのは、広告制作会社でした。当時の私の役割は、代理店からの指示に沿って、グラフィックを制作することでした。ひたすら手を動かす日々の中で、より上流からデザインを生み出したいという想いが強くなっていきました。お客様の想いを深く知り、その先にいるユーザーも見えるような環境でデザインがしたい。そう考えて、家電メーカーにデザイナーとして転職しました。そこで働いた6年間は、ブランディングを任され、コンセプトから携わる楽しさを知るとともに、ブランドの見せ方を考える難しさを学びました。ただ、当時はインナー向けの仕事が多かったため、次第にユーザーとの距離がより近い環境を求めるようになったのです。そんな私にとって、カメラや写真を通してお客さまとつながる「ニコンプラザ」をはじめ、ユーザーとの接点を大切にするニコンは、まさに理想でした。グラフィックデザイナーとして入社したため、まさかイベントを担当できるとは思ってもみませんでしたが、これも何かの縁だったのかもしれません。

私がデザイナーであることは、1社目から現在まで変わりません。ですが、1社目よりも2社目、2社目よりもニコンと、よりデザインという仕事の根幹に近づいているような感覚があります。経営的な観点を交えながら、ブランドの見せ方を一から作り上げる。ニコンというブランドを背負いデザインする責任とともに、その楽しさを日々実感しています。

コンポーネント番号: 4

コンポーネント番号: 21

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大切にしていること

大切にしていること

コンポーネント番号: 22

どこまでも客観的であるために。
磨くべきは、コミュニケーション。

コンポーネント番号: 3

デザイナーとしてずっと大切にしているのは、誰よりも客観的であること。美しさや面白さだけを重視しても伝わるデザインにはなりません。一方で、経営層や事業部の目線だけで発信したいことを強調しても、ユーザーの心に響かないものになってしまう。だからこそ求められるのが、多様な意見を引き出し、調和させるコミュニケーション力です。さまざまな立場の方とディスカッションしながら、誰よりもその場を俯瞰し、「何をどう伝えるか」を考えて突き詰めていくのがデザインの仕事だと思います。

私が企画やデザインを考えるフローは、「集める、選ぶ、磨く」という大きく3つの段階に分けられます。まずは素材となる情報を大量に集めること。扱う製品の詳しい情報、専門的な知識、そこに携わる人々の想い…。そのすべてが企画のヒントになります。次に、それらの情報をもとに「何を伝えるべきか」を固めます。ニコンとして何をアピールすべきか、ユーザーは何を求めているのか、膨大な情報の中から企画の核となるコンセプトを選び抜きます。最後に、選び抜いたコンセプトに磨きをかけて、より魅力的で伝わりやすい表現へと昇華させる。そのすべての段階で、コミュニケーションが不可欠です。経営層の意向を踏まえつつ、チームのメンバー、デザインセンターの仲間、製品や技術に精通した事業部の方々、すべての方の視点を交えることで、ニコンとして打ち出すべきメッセージが見えてくるのです。

コンポーネント番号: 4

コンポーネント番号: 21

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印象に残っている仕事

印象に残っている仕事

コンポーネント番号: 22

共感を呼ぶ、
新しい体験価値の提供。

コンポーネント番号: 3

「CES」に出展するにあたり、前年、前々年とコンセプトにしていたのは、ニコンのチャレンジを国内外からの来場者に伝えることでした。次に目指すのは、これまで進めてきた「理解」の段階から「共感」の段階まで引き上げること。鍵になるのは、「体験」の提供です。

例えば、ニコンにはロボットビジョンというシステムがあります。従来の産業用のロボットアームは、一定の条件下で正確に動くことができるものの、アームでピックする部品の置かれた位置が少しズレたりと、イレギュラーが発生すると対応ができませんでした。しかし、ロボットビジョンをアームに取り付ければ、人間に近い視覚と判断力を与えることができ、そういった小さな誤差にも対応できるようになります。昨年は、このロボットビジョンの技術を知ってもらうために、工場で使用されるシーンを想定した展示を行いました。
今年の狙いは、ニコンが目指す「人と機械が共創する社会」を、ロボットビジョンの技術を用いて表現すること。想定したのは工場ではなく、もっと多くの人の暮らしに身近で、かつ近い未来に本当に実現するかもしれない、そんな期待感を持てるシーンです。例えば、レストランの厨房でシェフとロボットが対話しながら、料理をつくり上げていく様子を届ける。そんなアイデアをチームのメンバーや事業部の皆さんと出し合い、企画を練り上げていきました。
最終的には、ニコンの目指すビジョンやブランド価値をデザインを通して体現し、来場者の方に共感いただける体験展示を実現。事業部とデザインが共創することでロボットビジョンの新たな可能性を示すことができ、事業貢献に助力することができました。「CES」での展示を通じて、ニコンの未来への想いを、世界中の方々と分かち合うことができました。次はどんなイベントで、どのような体験を届けようか。未来の構想は、すでに始まっています。

コンポーネント番号: 4

コンポーネント番号: 13

※所属・仕事内容は取材当時のものです。

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