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まだ誰も気づいていない課題をデザインで解決する。

上西 綺香

  • ユーザーインターフェースデザイン
上西 綺香

プロフィール

  • ユーザーインターフェースデザイナー

    2014年、新卒でニコンに入社。カメラのユーザーインターフェースデザインに携っています。

コンポーネント番号: 21

01

仕事内容

仕事内容

コンポーネント番号: 22

ピクセル単位の地道な追求。その積み重ねが、使いやすいUIデザインに。

コンポーネント番号: 3

たとえばスポーツ競技の撮影で、決定的瞬間を逃さないように、雪山のような過酷な環境下でスムーズに操作できるように。あらゆる撮影シーンを想定しながら、カメラのユーザーインターフェース(UI)をデザインしています。意識しているのは、「分かりやすい表現であること」と同時に、「撮影の邪魔をしないこと」。撮影に集中できるように、一つひとつの要素は主張しすぎず、それでいて視認性や操作性は高い、そんなデザインを目指しています。

メニューの配置や各画面への遷移の仕方などの細かな調整の積み重ねが、カメラの使いやすさにつながっていく。その確信があるからこそ、妥協は一切しません。ひとつのカメラのUIに用いられるアイコンの総数は、1000個以上になることも。その一つひとつが、私たちUIデザイナーの手によってピクセル単位で調整され、よりよい形を求めて検討されています。ほとんどのユーザーは気づかないような微細な形や色の違いにもこだわっています。

また、画面やアイコンをデザインするために、ユーザーのニーズや使い方を調査したり、課題を分析したりします。そこから得られた情報をもとに、デザインを検討、提案することで、ユーザーにとって魅力的なUIを実現します。このような地道な努力の成果がユーザーに届き、喜びの声をいただいたこともあります。

コンポーネント番号: 4

コンポーネント番号: 21

02

入社理由

入社理由

コンポーネント番号: 22

見えない課題の解決が、より良い体験につながっている。

コンポーネント番号: 3

カメラのUIの世界がこれほどまでに奥が深いとは、私自身、ニコンに入社するまでは知りませんでした。カメラに関する知識は人並み程度。正直にいうと、あまり身近なものではありませんでした。そんな私が、なぜニコンに入社したのか。それは大学時代、学内企業説明会で出会ったニコンの社員の皆さんの相手の立場に立って物事を考える、思いやりのある雰囲気に心惹かれたから。当時の私はデザイナーになるには強く自己主張できる必要があると思っていたのですが、主張するだけでなく、参加者の緊張を和らげるような話をしてくださったニコンのデザイナーの姿は印象に残りました。

思えばUIのデザインも、強く自己主張する類のデザインではありません。UIデザイナーに求められるのは、共感力や理解力。いかにユーザーの視点に立って、潜在的な課題を見つけ出し、その解決方法をデザインに落とし込めるか。ユーザー視点に立つために、自分でカメラを使ってみることはもちろんですが、実際のユーザーに話を聞く機会を大切にしています。新製品を実際に触っていただきながら、率直なご感想やご意見をお聞きするだけでなく、カメラを操作している様子、表情や口ぶりにも意識を向けるようにしています。見出したいのは、ご本人もまだ気づいていない隠された課題。ユーザーに直接お会いして、直に声を聞くことで、デザインのヒントをたくさんいただいています。

UIデザイナーという職種をまだ知らなかった高校生の頃は、悩みを抱えて困っている人の助けになるような仕事がしたいと思っていました。その頃の想いは、今も変わっていません。デザインも誰かの見えない課題を解決する手段。ユーザー体験をよりよいものにしていくために、潜在的な課題にアプローチしていく。自分がやりたかった仕事ができている喜びを日々感じています。

コンポーネント番号: 4

コンポーネント番号: 21

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大切にしていること

大切にしていること

コンポーネント番号: 22

ロジックと美しさ。説得力のあるデザインを。

コンポーネント番号: 3

UIデザイナーの仕事は、ひとり黙々と作業するだけの仕事ではありません。むしろ、働いている時間の多くは誰かと話をしています。仲間が困っているときはお互いにフォローしあったり、チームで集まって話し合ったり。ちょっとした相談や雑談がしやすい雰囲気があるのが、デザインセンターの魅力だと思います。

UIのデザインを進めていく上では、他部署との打ち合わせも数多くあります。一番頻度が高いのは、カメラの仕様や設計に関わる部署との打ち合わせです。技術者の皆さんは、長年カメラの設計に携わってきた方や、自社製品に対する思い入れのある方ばかり。真剣になるあまり意見が食い違い、なかなか結論が出ないこともあります。議論を前に進めるためにも、デザイナーには、なぜそのデザインがよいのか、論理的に説明する力が求められます。ロジックと美しさ。その双方を満たす説得力のあるデザインが、開発の現場では求められているのです。「そのUIは説得力がある?」という会話は、チーム内でもよく飛び交っています。

コンポーネント番号: 4

コンポーネント番号: 21

04

これからのこと

これからのこと

コンポーネント番号: 22

一人でも多くの人に撮影する喜びを届けたい。

コンポーネント番号: 3

日々のかけがえのない瞬間や、決定的な瞬間。カメラには、一瞬の輝きを捉える力があります。この仕事をはじめてから、これまで何度もカメラの力、写真の魅力に気づかされました。最近では、国際的なスポーツ大会でプロフォトグラファーが撮影した、アスリートの一瞬の動きや表情、ゴールの瞬間を捉えた写真を見て、強く心を動かされました。その撮影に使用されたカメラは、私もUIデザインに関わっていたミラーレスカメラ「Z9」でした。私が担当したのは、そのカメラの一部分でしたが、プロフォトグラファーとニコンの技術、たくさんの人の想いが重なった先に、こんなに素晴らしい一枚が生まれるということに深く感動しました。

一人でも多くの人が写真という形で記録を残し、自由に自己表現ができるように、これからもUIデザインを通して貢献していきたい。一人でも多くのユーザーの見えない課題を解決し、写真を撮影する喜びを届けたい。UIデザイナーとして、一つひとつ地道に進んでいきます。

コンポーネント番号: 13

※所属・仕事内容は取材当時のものです。

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