宇宙

宇宙の果て

2013年、ESA(欧州宇宙機関)は、宇宙の年齢をそれまでより約1億年古いおよそ138億年であると発表した。最新の宇宙背景放射の観測から求められたもので、“現在観測できる宇宙の果て”はおよそ138億光年の彼方にある。想像を絶する高いエネルギーである「ビッグ・バン」から生まれた宇宙は、静止しているように見えて、今この瞬間も、銀河同士の衝突や超新星爆発が起き続けるダイナミズムをもっている。

局所銀河群

銀河系が属する局所銀河群

銀河が数十個集まったグループを、「局所銀河群」あるいは「局部銀河群」という。銀河系が属する局所銀河群には、銀河系の2倍の大きさの「アンドロメダ銀河M31」や、銀河系の近くにある星の大集団である「大マゼラン雲」と「小マゼラン雲」などがある。銀河系からの距離は、アンドロメダ銀河までがおよそ230万光年、大マゼラン雲まではおよそ16万光年、小マゼラン雲がおよそ20万光年。それぞれは宇宙規模では近接しているといえるが、想像を超える距離に隔てられていて、これらを含め、直径およそ600万光年とされている。

銀河系

銀河系の直径

太陽系が属している銀河のこと。およそ2000億個の恒星をもつ。中央部分のふくらみを「バルジ」、周辺の板状の部分を「ディスク」または「円盤部」といい、銀河全体を球状に「ハロー」という高温のガスのかたまりが包んでいる。太陽系は中心からおよそ3万光年離れたディスクの上にある。七夕の日に織姫と彦星が出会う「天の川」は銀河系内の他の星々で、あのガリレオ・ガリレイによって初めて望遠鏡で観察された。

散光星雲

M42(オリオン座大星雲)

オリオン座の3つ並んだ星のそばに肉眼でも見つけることのできる星雲。太陽から距離およそ1500光年のところにあり、翼を広げた鳥の形をした星雲で、翼の先から先まではおよそ30光年ある。この星雲の正体は星間ガスが光っているもので、内部にいくつもの生まれたての恒星があることが分かっている。

太陽系

太陽系は、太陽を中心に水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、の8つの惑星と、冥王星などの準惑星および無数の太陽系小天体によって構成されている。太陽から一番外側の惑星である海王星までは約45億キロメートル離れており、その外側のはるか彼方まで小天体の分布が確認されている。およそ46億年前、宇宙空間を漂っていた星間物質が引力によって集まり回転をはじめ、中央にたくさんの物質が引き寄せられたことで原始太陽が生まれたのが太陽系の始まり。その他の惑星や小天体たちは周りに残されたガスやチリから生まれたと考えられている。

ベテルギウス

ベテルギウスは、オリオン座でひときわ赤く輝く1等星。約6年の周期で明るさが変わる変光星で、地球からは約640光年離れている。その直径は太陽の約1000倍とたいへん大きく、もし太陽の位置にベテルギウスがあるとすると、木星軌道付近まで達するほど。赤色超巨星というタイプの年老いた星で、遠くない将来に超新星爆発を起こして星の一生を終えると言われている。

太陽

地球の生命に多くの恵みをもたらす太陽は、赤道上に地球が110個あまり並ぶ大きさ。質量は地球の33万個分に相当する。中心温度はおよそ1500万℃、表面温度はおよそ6000℃、強い磁場に発生する黒点の温度はおよそ3700℃とやや低い。太陽から放出されるプラズマは地球に達し、オーロラ現象を引き起こす。50億年後、太陽は水素を使い尽くし赤色巨星となって膨張をはじめ、最終的には冷え切ると考えられている。

木星

木星は美しい縞模様をもつ太陽系最大の惑星で、ガス状惑星の代表格。直径は地球のおよそ11倍、体積はおよそ1300倍、自転速度は太陽系の惑星のなかで最も速く9時間56分で一回転する。木星の南半球赤道付近には大赤斑と呼ばれる巨大な大気の渦がある。この巨大渦は、19世紀後半には直径約4万キロメートルと地球が横に3個並ぶほどの大きさだったが、2014年時点では約1万6500キロメートルまで縮小しており、年々縮小していることが明らかになっている。

土星

木星と同様に巨大なガス状惑星で、太陽から6番目の場所に位置する。最も大きな特徴は周囲を取り囲む環で、一番最初に発見したのはガリレオ・ガリレイだった。当時の望遠鏡は性能が低かったため、ガリレオは環のことを「耳のような物体」とノートに書き記している。土星の環はほとんどが氷と岩の粒からできていて、輪の内側(惑星側)ほど速く周回している。また、土星のまわりには複数の衛星があり、最も有名な「タイタン」は直径がおよそ5150キロメートルもある。

天王星

1781年にイギリスのウィリアム・ハーシェルによって偶然発見された太陽系7番目の惑星。最も大きな特徴は、自転軸が公転軸に対して98度も傾き、ほぼ横倒しの状態のまま太陽を周回していること。天王星が誕生して間もない頃に巨大な天体と衝突し、その衝撃によって自転軸が横倒しになったと考えられている。1986年にボイジャー2号が観測した雲の動きから、天王星では時速およそ7900キロメートルの強烈な風が吹いていることが分った。

海王星

数学の力によって発見された太陽系8番目の惑星。1781年の天王星発見後、ニュートンの万有引力の法則から求められる軌道が実際の観測値とずれていることが判明。数学者であるジョン・アダムスとウルバン・ルベリエは、その理由を天王星が未知の惑星の引力により軌道を乱されているためと仮定し、計算によって新惑星のあるべき場所を導き出した。1846年、ドイツ天文台のヨハン・ガレは彼らの計算をもとに観測を行い、ついにこの海王星を発見した。

地球

われわれ人類が住む、太陽から3番目に位置する、太陽系唯一の水の惑星。主に窒素と酸素からなる大気は、太陽の熱を保存し、地上およそ25~40キロメートル付近のオゾン層は生物にとって害となる紫外線を吸収している。現在、二酸化炭素による気温の上昇(地球温暖化)や、フロンガスによるオゾン破壊という、環境問題が深刻化している。地球の公転周期は365.25日、自転周期は平均23.93時間。自転軸の傾きにより季節の変化が起きる。

金星

「明けの明星」「宵の明星」と呼ばれ親しまれている金星。大きさが地球に似ていることから、過去には金星と地球は双子星との説もあった。しかし調査により金星の表面温度はおよそ465℃もあり、地球と全く異なる環境であることが明らかになった。1961年、旧ソ連のベネラ1号を皮切りに多くの探査機が打ち上げられたが、高温と、地球のおよそ90倍もの圧力によってほとんどが破壊された。1970年、ベネラ7号が初着陸に成功した。

火星

表面が赤褐色に輝き、血の色を連想させることから、ヨーロッパでは火星を、ローマ神話の戦いの神の名にちなんで「マルス」と呼んだ。地球のおよそ2分の1の大きさ。1894年、アメリカの実業家パーシバル・ローウェルが、火星表面に見える線状模様を、高度な文明によって作られた運河であると発表したが、後の探査によって火星人存在説は否定された。変化に富んだ地形が特徴で、標高およそ2万5000メートルの火山や、長さおよそ4000キロメートルもの巨大渓谷などがある。

水星

水星は太陽系の中で最も小さい惑星で、直径はおよそ4880キロメートル(地球のおよそ5分の2の大きさ)。公転周期が88日と短い割には自転周期は59日と長い。そのため一昼夜の長さが176日もあり、長い昼間の温度は427℃にも上り、夜はマイナス183℃まで下がる。水星はかつて多くの謎に包まれていたが、1973年に打ち上げられたアメリカのマリナー10号によって、直径およそ1300キロメートルの巨大クレーターの存在などが明らかになった。

地球に属する唯一の衛星で、最も地球に近い天体。地球のおよそ4分の1の大きさで、ピンポン球(40ミリメートル)とパチンコ玉(11ミリメートル)が、地球と月の大きさの比較によく使われる。表面には無数のクレーターがあり、その数は地球に面している部分だけでも30万個以上あるといわれている。1969年、人類史上初の月面第一歩となったアポロ11号のアームストロング船長らによる月面調査以降、土壌サンプル(岩石)などが地球に持ち帰られ現在も調査研究が続けられている。

エベレスト山

ネパールと中国チベット自治区との境にそびえる世界で最も高い山。チベット名「チョモランマ」は、“大地の女神”“世界の母神”を意味する。「エベレスト」という名は、三角測量によるインド亜大陸の精密測量で知られたイギリス人測地学者のジョージ・エベレストにちなんでつけられた。標高は1955年にインドの調査隊が測定した8848メートルが知られているが、これは山頂に積もった冠雪も含めた高さ。冠雪を除いた岩山の高さは、2005年に中国の国家測量局が測定を行った8844.43メートルと言われている。

富士山

日本 / 静岡県、山梨県

日本で最も高い山であるだけでなく、昔から霊峰として崇められてきた。成り立ちは噴火によるもので、およそ1万1000年前、古富士の山頂西側で噴火が起こり、その際に噴出した大量の溶岩によって現在の富士山(新富士)が形成された。その後、古富士と新富士は並立していたが、風化による雪崩で古富士が崩壊し、新富士だけが残されて現在の形になった。

エンジェル・フォール

ベネズエラ / ボリバル州中部

一段の滝としては世界最大の落差を誇る。州都シウダードボリバルの南南東およそ250キロメートル、カロニ川支流チュルン川にかかり、ギアナ高地中部のアウヤンテプイ高原からほぼ垂直に落下。あまりの落差に落下する水が空中で霧散するため、滝壺のない滝としても知られる。1937年にこの滝を発見したアメリカ人の探検家ジェームス・エンジェルにちなんで命名。

エアーズロック

オーストラリア中部 / アリススプリングスの南西約340キロメートル

世界最大級の一枚岩。周囲およそ9000メートル、海抜およそ867メートル(地上からの高さはおよそ348メートル)で、荒涼とした砂漠に忽然と現れるその雄大な姿から“地球のヘソ”と呼ばれている。先住民のアボリジニの聖地であり、彼らはこの巨大岩を「ウルル」と呼び敬っている。岩面にはアナング族の伝説を伝える壁画が数多く残されている。太陽の位置によって岩肌がオレンジから赤、紫へと七色に変化する。

ブルジュ・ハリファ

アラブ首長国連邦 / ドバイ

アラブ首長国連邦(UAE)の最大の都市ドバイにある世界で最も高いビルディング。尖塔までを含む全高は地上828メートル、160階建以上 。「ブルジュ」はアラビア語で塔を意味し、「ハリファ」は建設の功労者であるアラブ首長国連邦(UAE)大統領の名にちなんで命名された。ヒメノカリスという花に着想を得たタワーは、コア構造体を中心にして、3つの翼部がY字型の螺旋状に外へ張り出した形状をしており、美観だけでなく、強度や建築のしやすさ、コストなど機能的にも優れた構造をもつ。

エンパイア・ステート・ビルディング

アメリカ合衆国 / ニューヨーク州 / マンハッタン

マンハッタン五番街にある超高層建築で、デュポン家4代目の一人、ピエールの注文を受けシュリーブ・ラム・ハーマン建築事務所が設計した。好景気に沸く1920年代に計画されたが、実際に建設が開始されたのは大恐慌後の1930年。現在では考えられないが、完成当初はテナントもなく空室だらけの状態が続いた。102階、381mの世界最高の建築物として長く王座を保ってきたが、シアーズ・タワーなどにその座を奪われた。

ケルン大聖堂

ドイツ / ケルン

ゴシック様式の建築物としては世界最大である聖堂で、正式名称はザンクト・ペーター・ウント・マリア大聖堂。1248年に大司教の命によって着工、内部の一部は1320年に完成するが、ステンドグラスは14世紀初頭から16世紀まで、袖廊は1322年から15世紀末までと完成までに長い時間を要した。1560年から工事は一時中断したものの、1842年に時のバイエルン国王の命により再開され、1880年に600年余を経て完成した。双塔の高さは157メートル、幅はおよそ61メートル。

ピラミッド

クフ王の大ピラミッド

エジプト / ギザ

紀元前3000年前後の古代エジプトに建てられた四角錐の巨大建造物。建造の目的は、王墓説、閑農期の公共事業説など諸説がある。世界一高いピラミッドは、ギザ台地に建つクフ王の第一ピラミッドで、高さ147メートル、底辺は一辺が230メートル、およそ2.5トンの石がおよそ230万個も使われている。数多く残されているピラミッドの謎のひとつは、その緻密な寸法にある。4つの辺の誤差はわずか50センチメートル、1メートルあたりでわずか0.2ミリメートルしかなく、高度な土木・測量技術をもっていたといわれている。

観覧車

ロンドン・アイ

イギリス / ロンドン / テムズ川南岸

テムズ川の南岸、ロンドン・カウンティ・ホールの向かいに建つ「ロンドン・アイ」は、高さ135メートル、総重量1900トンの世界最大級の観覧車。英国のミレニアム・プロジェクトの一環として造られた。25人乗りの巨大なカプセルに乗って、一周およそ30分間の空の旅が楽しめる。上空ではビッグ・ベン、バッキンガム宮殿、セントポール大聖堂といったロンドンのランドマークを一望のもとにし、快晴の日は視界がおよそ40キロメートルにもおよぶ。

自由の女神像

アメリカ合衆国 / ニューヨーク州 / リバティ島

ニューヨークはリバティ島にそびえる自由の象徴。フランス人彫刻家・バルトルディによって作られ、1886年、アメリカの建国100年を祝ってフランスから贈られた。像の高さがおよそ46メートル、台座が47メートル、重さはおよそ250トンある。右手にたいまつ、左手に独立宣言書を持ち、左足は自由を奪うものを表す鎖を踏みつけている。王冠の7本のトゲは世界の海と大陸を表現しており、世界に自由が広まるというメッセージを伝える。

セコイアの木

シャーマン将軍の木

アメリカ合衆国 / カリフォルニア州 / セコイア国立公園

北米西岸に二種(レッドウッド、セコイア)あり、セコイアは極めて長寿で3000年を超えるものもある。セコイア国立公園に自生している「ジェネラルシャーマン」と名付けられた世界一の巨樹は、高さがおよそ83メートル、直径は11メートルで、樹齢はおよそ2100年と推定されている。幹の体積は1980年当時で1487平方メートルあり、現在では1500平方メートルに達しているという。公園内にはこの木が生えるジャイアント・フォレストをはじめ、30以上のセコイアの森が豊かに広がっている。

ジャンボジェット機

ジャンボジェット機 ボーイング747型

世界の都市から都市へ、ジェットエンジンによる飛行機は、その速度と運輸力で世界の距離と時間の概念を変えた。1970年代、旅客や貨物の航空輸送の急増と、空港の混雑に対応するためにより大型の飛行機が開発された。ボーイング747もその一つで、1969年の初飛行以来改良を繰り返しながら、現在も世界の空を飛んでいる。初期モデルである747-100型の機体の長さは70.6メートル、翼幅は59.6メートルで、地上から尾翼先端まで19メートルの高さがある。その大きさ、積載量、馬力などから「ジャンボ」の愛称で親しまれる。

凱旋門

エトワール凱旋門

フランス / パリ / シャルル・ド・ゴール広場

フランスはパリのシャルル・ド・ゴール広場に建ち、ナポレオンの戦勝記念として1806年に着工、1836年に完成した凱旋門。高さ50メートル、幅45メートルを誇り、彫刻家リュードの傑作「1792年の義勇軍の出陣」をはじめ、ロマン派の彫刻で飾られている。中には無名兵士の墓があり、現在も夕方の6時30分には「追悼の炎」がともる。エトワール凱旋門を中心として周囲には、一番にぎやかなシャンゼリゼ大通りをはじめ12本の大通りが放射状に広がり、門の屋上からは、近代都市パリの街を一望できる。

スフィンクス

ギザのスフィンクス像

エジプト / ギザ

ライオンの体と人の頭を持つ空想上の生き物。ギリシャ神話でオイディプスに謎かけをしたことから、中世ヨーロッパでは「人生の謎や無知、悪」のシンボルとされた。その起源はエジプト文明最古期にさかのぼる。ギザに建つピラミッドの前に座すスフィンクス像は全長73メートル、高さ20メートルと最大かつ最古の像で、ライオンはファラオ(王)を、人頭部に飾られた王の頭飾り(ネメス)は力を象徴し、紀元前2600年頃の第4王朝時代に活躍したカフラー王自身を模したといわれる。

クジラ

シロナガスクジラ

クジラ目 / ナガスクジラ科 / シロナガスクジラ

海洋に棲む大型のほ乳類。現在およそ82種の存在が確認されているが、特にシロナガスクジラは世界最大で、全長およそ33.6メートル、重さおよそ190トン前後の測定記録がある。文芸作『白鯨』の作家メルヴィルは、クジラの巨大さ、力強さを宇宙の破壊力になぞらえた。クジラには高い知能やコミュニケーション能力をもつものが多く、そのメカニズムなどについての研究も進められている。

2階建てバス

ダブルデッカー

2階建てバスは世界各国で見られるが、最も有名なのはイギリスの「ダブルデッカー」だ。1910年、ロンドンで初めて実用化に成功した2階建てバスで、翌年には交通移動の主流であった路線馬車を廃止に追い込んだ。なかでも高さおよそ4.4メートルで、山高帽子のようなずんぐりとした車種の「ルートマスター」は真っ赤なボディーのかわいらしさも相まって、ロンドンのシンボルとして交通手段、観光用として人気が高かったが、2005年を以て保存路線を除いて新型のBendy busに代替される事となった。

キリン

マサイキリン

ウシ目(偶蹄目) / キリン科 / マサイキリン

陸上のほ乳類のうち、もっとも背の高い動物。天地創造の時、アイディアに困った神々は、残った体の部位を寄せ集めてキリンを作ったという逸話がある。長い首に短い胴体、後ろ足よりも長い前足など特異な姿は、自然環境に適応しようと進化した証。記録に残る最も大きなキリンは、1959年にケニアからイギリスへ連れてこられた「ジョージ」という名のオスのマサイキリンで背が5.88メートルあった。

ゾウ

アフリカゾウ

ゾウ(長鼻目)目 / ゾウ科 / アフリカゾウ

世界最大の陸上動物。長くのびた上くちびるや器用に動く鼻、大きな耳を持ち、アフリカやインド、東南アジアの森林やサバンナを悠然と歩く。強大な体を持ちながらも高い知能をもち、従順な気質で、1000年以上も前から宗教的・文化的に各地で親しまれてきた。一方では象牙を目的とした乱獲で個体数は減少。ゾウの中でもアフリカゾウは大型種で、1955年にアンゴラで記録されたものは体重およそ10トン、肩高およそ4メートル(平均およそ3メートル)もあったという。

ダチョウ

ダチョウ目 / ダチョウ科 / ダチョウ

現生の鳥類のなかでは最大種。アフリカに生息し、翼はあるものの飛ぶことはできないが、危険を感じると時速およそ60キロメートル以上で走る。オスの大きさはおよそ頭高2.5メートル、体重およそ150キログラムになる。卵も鳥卵では最大で、大きなものは直径およそ15センチメートル、およそ1600グラムの重量がある。一夫多妻制で、オスがつくった巣に3~5羽のメスがそれぞれ4~8個の卵を産みつける。たくさんの卵を夜はオス1羽で、昼はメス数羽が交代で抱きかかえて育てる。

ひまわり

キク目 / キク科 / ヒマワリ

北米原産の一年草でおよそ160もの品種がある。北半球での開花は7~9月で、高く咲き誇って夏を知らせる。2014年のドイツで9.17メートル(平均およそ2m)という記録がある。まっすぐに伸びた茎の先端につける花も大きく、1983年にカナダで栽培された直径82センチメートルの花が最大とされている。太陽に合わせて花の向きを変えることから「太陽の花」として親しまれる。

霊長目 / ヒト科 / ヒト

ホモ・サピエンスとして進化し続けるヒト。道具や火を扱い、言葉を話し、文明を築き、高度なテクノロジーで宇宙を探求しながら、極小世界の謎も解明する“理知的生物”。平均的な体長・体格は人種、年齢、個人によってさまざまではあるものの、身長や体重は1日のなかでも変動する。午後には背が平均1~2センチメートル小さくなり、体重は平均2キログラム増える。無数の筋肉や神経、細胞、そして心の働きが相関する細密なメカニズムをもったヒトの体には、無限の可能性が秘められている。

イヌ

ゴールデンレトリーバー

ネコ目(食肉目) / イヌ科 / ゴールデンレトリーバー

イヌは古来より人と生活を共にしてきた。中でも淡い金褐色の体毛と優しい表情を持つこの大型犬は、おだやかで責任感が強く、家庭犬として人気が高い。起源は20世紀後半のイギリスで、フラットコーテッド・レトリーバーとツイード・ウォーター・スパニエルの交配が始まりとされる。猟犬の資質にも優れ、介護や競技など多様な使役犬として活躍している。

チンパンジー

霊長目 / ヒト科 / チンパンジー

ヒトに最も近い動物。しぐさや表情に人間らしさが感じられる個体もある。ヒトと共通の祖先を持ち、500万年前に分化したといわれ、アフリカ西部から中央部の地域に生息している。アリを食べるために木の枝を使ったり、植物の実を石で叩き割ったりと、道具を使うことが特徴的だ。学ぶことで、手話や図形文字で人間と会話することもでき、社会的行動も見られる。

カメ

アカウミガメ

カメ目 / ウミガメ科 / アカウミガメ

堅い甲羅(こうら)を持つ爬虫類。陸や海、水陸両方に棲むものなど、およそ220種が世界中に分布する。そのうち、ウミガメの中でも大型の種であるアカウミガメは甲長1.2メートル、体重200キログラムを超すものもいる。温帯から亜熱帯の海洋を生息域とし、もっとも高緯度で産卵する。産卵期には砂浜に上陸して、およそ120個ほどの卵を産むメスの姿が見られる。世界各地の沿岸部の地域開発が進み、産卵場を失うことも多く、個体の数は減少している。

ウサギ

ニホンノウサギ

ウサギ目 / ウサギ科 / ニホンノウサギ

長く自由に動く耳で危険を察知し、跳躍力に優れ、動きがすばやい。繁殖力の高さから、ヨーロッパ北部では「春」と「再生」の象徴として、春を祝う復活祭のシンボルでもある。種類はノウサギとアナウサギに大別され、ペットとして飼われるアナウサギに対して、地面や茂みのくぼみを巣としているノウサギは野生種がほとんど。生まれたばかりの仔ウサギはすでに体毛が生えそろっていて眼があいており、すぐに歩くことができる。

サッカーボール

5号球

世界を席巻する英国生まれのスポーツ、サッカー。正式名「association football」から「assoccer」へと短縮され、現在の「soccer」へと変遷。日本も含めた数カ国のみが現在もこの通称を使用している。熱狂と栄光の“主役”となるボールは、極めて安定性が高く、頑丈で、しかも流体力学の原理どおりに空中で曲がることができるという特性をもっている。12枚の正五角形と20枚の正六角形からなる球体が代表的なデザインだが、現在では、より精度の高い構造に進歩したさまざまなデザインのボールが採用されている。5号球は、ワールドカップでも使用される公式試合球のサイズ。

光ディスク(12 cm)

音楽や映像を楽しんだり、コンピュータのデータ保存などで利用される記録媒体。直径12cm、厚さ数ミリ程度の樹脂などでできた円盤で、半導体レーザーにより、データを凹凸で刻み、読み出す仕組み。CD、DVD、Blu-ray Discが代表的な光ディスク。

りんご

ふじ

バラ目 / バラ科 / ふじ

バラ科の落葉木で、西部アジアから南東部ヨーロッパが原産。アダムとイブが食べた“禁断の果実”であり、イギリスの物理学者ニュートンが万有引力の法則を発見するきっかけともなった、人類にとってはなじみ深い果物だ。およそ15000種の多くが世界各国の温帯地域で栽培されている。日本でポピュラーな品種である「ふじ」の大きさはおよそ8.5センチメートルだが、1997年にイギリスで収穫されたリンゴは1.68キログラムもの重さがあった。

ネズミ

ハツカネズミ

ネズミ目 / ネズミ科 / ハツカネズミ

世界中に広く分布する齧歯目の哺乳動物で、一生伸び続ける門歯と驚異的な繁殖力が特徴。中でもハツカネズミをはじめとする「イエネズミ」と呼ばれるグループは特に人間との関わりが深く、歴史的には悪魔の使いとして恐れられるなど、代表的な害獣として扱われてきた。しかし、その一方では実験動物として医学などの進歩におおいに貢献をしてくれている。

SDメモリーカード

※SDロゴはSD-3C, LLCの商標です。

SDアソシエーションにて規格化されているフラッシュメモリーカードの規格。サイズはフルサイズのものでは縦32ミリ×横24ミリ×厚さ2.1ミリ。SD規格には、SD(最大2GB)、SDHC(4GB~32GB)、およびSDXC(32GB~2TB)の3種類の容量の規格があり、それぞれに多様な転送速度のオプションがある。またPCやデジタルカメラをはじめ複数のデバイス間やアプリケーション・サポートに対応できる相互運用性と互換性を備えている。電子デバイスの多様化などの環境変化もあり、miniSD、microSDといった小型サイズの規格も登場している。

キリギリス

バッタ目 / キリギリス科 / キリギリス

童話「アリとキリギリス」(イソップ童話)などでもなじみ深い。日本では初夏から秋口にかけて草むらなどで鳴くことから風物詩として知られる。イギリスでは、“Kate she did(ケイトがやって来た)”と鳴いているように聞こえることから「Katydid」の名で親しまれている。メスは腹部と同じくらいの長さの産卵管をもち、夏の終わり頃になると産卵管を土中に差し込んで産卵する。卵はそのまま冬を越し、翌年の春にふ化する。

硬貨

1セント硬貨

イギリスの植民地時代、アメリカは自国によるコイン製造などを制限されていたことの反動から、独立宣言後は急速に貨幣制度を確立した。基本貨幣単位はトーマス・ジェファーソンが提案した10進法によるものを採用。1セント硬貨の表側は、アメリカ合衆国第16代大統領で「奴隷解放の父」とも呼ばれるエイブラハム・リンカーン像、裏側はリンカーン・ユニオン・シールドがモチーフ(2010年にリンカーン記念堂からデザインを一新)になっている。素材は亜鉛が97.5パーセント、銅が2.5パーセント使われている。

ハチ

ヨーロッパミツバチ

ハチ目 / ミツバチ科 / ヨーロッパミツバチ

全世界に12万種以上存在する。個体による多様性に富み、特にミツバチ種はユニークな習性をもっている。巣には1匹の女王バチ、およそ2000匹の雄バチ、数千匹の働きバチが住み、高度に体系化された社会生活を営んでいる。働きバチの生存期間はおよそ40日と短いが、女王バチはおよそ3~5年間生き、1日におよそ1000~1500個もの卵を産み続ける。女系のミツバチ社会では、雄バチは女王バチとの交尾のためにのみ存在している。

ハエ

イエバエ

ハエ目 / イエバエ科 / イエバエ

ハエは大型でおよそ8~15ミリメートル、小型でおよそ2~3ミリメートル、世界中に多様な種が存在する。幼虫が動物の糞や腐敗有機物で発生するものが多く、特に人間の居住エリアに棲みつくイエバエは体長平均9~11ミリメートルで、衛生害虫として扱われている。卵から育ったイエバエの成虫が産卵するまでの期間は20日間と短く、1年に10回以上という驚異的なサイクルで世代交代を行う。また、チョウやトンボ、ミツバチなどと同様に複眼で、視界に入った対象物をモザイクでとらえる。

テントウムシ

ナナホシテントウ

コウチュウ目(鞘翅目) / テントウムシ科 / ナナホシテントウ

成虫は半球形の小甲虫。体長は数ミリメートル~1センチメートル程度のものが多く、色や斑点の数は個体間によって変化に富む。英語名の“Ladybird”は聖母マリアに由来し、世界各地で幸福の象徴とされている。農作物の葉を食し害虫として忌み嫌われる種も多いが、ナナホシテントウのようにアブラムシを捕食し、植物のスス病などを抑制する益虫も存在する。近年では人為的にナナホシテントウを畑に放ち、その食性を利用した害虫駆除を行うケースも少なくない。

アカイエカ

ハエ目 / カ科 / アカイエカ

全部でおよそ2500種も存在する。長い口吻を使って人間などから吸血することで病原菌などを媒介する衛生害虫。ただし吸血するのはメスのみで、これは産卵のために良質のタンパク質を摂取するため。このうちの一種、アカイエカは体重と同量の血液を吸うといわれ、主に夕方から明け方にかけて活動する。人間以外にも鳥類などを好む。1999年にニューヨークで流行した西ナイル熱はアカイエカが主要な媒介蚊で、カラスなどの鳥類によってウイルスが増幅されたと考えられている。

アリ

クロヤマアリ

ハチ目(膜翅目) / アリ科 / クロヤマアリ

多数で集団生活を営むことで「社会性昆虫」とも呼ばれ、高度に階層化・体系化された社会を構成する。熱帯から冷帯まで環境適応しながら広く分布。大きなアゴを使い、自身の何倍もの物体を運ぶ力の持ち主でもある。日本で日常身近に目にするクロヤマアリは、働きアリで体長4~6ミリメートル程度、女王アリでは1センチメートル以上になる(イラストは働きアリ)。巣穴の深さは2~4メートルほどで、ひとつの巣に住む働きアリの数は多いと1万6000匹以上にもなるという。

ミジンコ

カブトミジンコ

枝角目 / ミジンコ科 / カブトミジンコ

エビやカニと同じ甲殻類に属する動物性プランクトンの一種。カブトミジンコの種は頭頂部が兜のように尖っているのが特徴。魚などの天敵が少ない池に生息する種は頭が丸いため、この兜は外敵から身を守るために進化したものと考えられている。小さな体に眼や心臓、産卵のための器官などが組み込まれ、遊泳脚と呼ばれる第二触角によって水を打ちながら泳いで移動する。

ノミ

ネコノミ

隠翅目(ノミ目) / ヒトノミ科 / ネコノミ

恒温動物に寄生し、寄主の体から吸血する。多くの種が病原菌などを媒介し、中世ヨーロッパではペスト菌を媒介したネズミノミによって黒死病が大流行した。吸血のメカニズムは独特で、寄主の体に小あご内葉を突き刺すと2つのポンプが作動し、片方で血液を吸い込み、もう片方で血液の凝固を防ぐ唾液を送り込む。また後脚部分のレシリンと呼ばれるタンパク質を利用して、体長の150倍以上もの高さまで一気に跳ね上がる跳躍力をもっている。

雪の結晶

条件によって一つとして同じ形状がないといわれる自然がつくる芸術品。薄い六角板状のものや、6本の枝が星状・樹状に伸びたもの、六角形の柱状のものなど、さまざまな形がある。およそ0.1~5ミリメートル。まれに10ミリメートルを超えることも。大きさ0.1ミリメートル以下の結晶は氷晶と呼ばれ、雪の結晶の芽といえる。それが成長して降ってきた経路を形に表すとされ、雪の結晶を見ることで、上空の気象条件(温度・湿度など)が分かるといわれている。ドイツの天文学者であるヨハネス・ケプラーは、雪の結晶が六角形をしていることを指摘し、なぜ六角形になるかを初めて論じた。

ゴマ

白ゴマ

ゴマノハグサ目 / ゴマ科 / シロゴマ

一年草。茎の断面は四角形で高さ1メートルほどに成長する。日常、食用としているゴマは、熟したさやからこぼれ落ちた種子だ。一粒の厚みはおよそ1ミリメートル。縦3ミリメートル、横1.5ミリメートルほど。この小さな粒には、タンパク質や炭水化物、脂質、ビタミンEなどが豊富に含まれる。特に白ゴマは脂質が50~55パーセントと高く、ゴマ油を取るのに使われている。

ダニ

イエダニ

ダニ目 / ワクモ科 / イエダニ

ダニ目の総称。動植物に寄生する。体は退化した構造(顎体部、前体部、後体部)を持ち体に頭、胸、腹部の区別がない。脚は幼虫のときには3対(6本)しかないが、成虫になると4対(8本)になる。例えば世界中に生息しており、血を吸われるとかなりかゆくなる「イエダニ」の大きさはおよそ0.5~1ミリメートルで、肉眼でも存在がなんとなく確認できるという程度の大きさしかない。

アメーバ

アメーバ プロテウス

1つの細胞からなる動物性の単細胞生物の一種で、湖や沼地などの底の泥や土壌などに棲む。形は不定で、“仮足”という、体をゲル状に伸ばす方法によって移動する。仮足は細菌や他の原生動物、藻類などを取り込んで食べるためにも使われる。アメーバは細胞分裂を始めると体の周囲にたくさんの突起ができ、やがてくびれが生じ、2つの細胞に分かれる。代表的な種のアメーバ・プロテウスはおよそ30分で分裂する。「アメーバ(Ameba)」はギリシャ語で「変化」の意。

ゾウリムシ

ゾウリムシ目 / ゾウリムシ属 / ゾウリムシ

1個の細胞からできている動物性の単細胞生物の一種。川や池、水田などに住み、体を包む細かい繊毛を動かして移動する。中央部のらっぱ状に開いた口から主に細菌類を食べ、老廃物や余分な水分は細胞肛門より排せつする。単体で分裂して増殖することもできるが、遺伝的に決まった寿命(分裂回数)があるため、これを繰り返すだけでは絶滅してしまう。そのため違う個体と有性生殖を行うことで若返るというユニークな生態をもっている。

卵子

ヒトの卵子

人体中で最大の細胞である卵子。その直径はおよそ200マイクロメートルもあり、肉眼でも観察できる。生まれたばかりの女児の卵巣内には、卵子のもとになる細胞(卵母細胞)がすでにあり、出生後に卵母細胞が新たに作られることはない。妊娠16~20週の時点で、胎児の卵巣にはおよそ600万~700万個の卵母細胞があり、以後その多くは徐々に消失していく。つまり、卵子は、体内で最も寿命が長い細胞といえる。

ミカヅキモ

ホシミドロ目 / ミカヅキモ属 / ミカヅキモ

その名の通り、なだらかな三日月状にカーブした形が特徴的な緑色の藻(も)。チリモと呼ばれる植物性の単細胞生物の代表的な一属、およそ80種が知られている。湖や沼、湿原などの底にたまった泥の上に見える、細かい羽毛のようなものはこのミカヅキモ。体内に葉緑体を持っており、茎や葉はなくても、れっきとした植物として光合成しながら生きている。

微小電気機械素子

MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)

半導体製造技術を用いて製造される、微小な(1マイクロメートル~1ミリメートルほどの大きさ)構造体・センサ・アクチュエーターなどの素子のこと。ニコンでは、多層の膜を積層してMEMS素子を製造する技術を独自に開発し、赤外線センサや光スイッチなどの素子開発に応用した。この技術では、各層に異なる機能を割り当てられるため、高機能・高密度なMEMS素子が(比較的)容易に実現できる。

微小精密光学素子

MLA(Micro(Multi)Lens Array)

小さな光学素子の表面に、直径数10~数100マイクロメートルという小さなレンズを配列した光学部品のこと。極細の光ファイバーに光を入れたり、あるいは取り出したりするのに用いられる。例えば、デジタルカメラなどで使われるCCDやCMOSは、高画素化するほど細かな表現が得意になる。ただしCCDなどのサイズが同じ場合は、画素数を増やすほど1つ1つの素子が小さくなり、受けられる光が減るため、撮影した画像にノイズが出てしまう。効率よく光を集められるMLAは、この問題を解決するために使われている。

花粉

スギ花粉

動物の精子にあたる雄性細胞。スギ花粉の場合は円や楕円、三角形などの形状をもち、色も多様だ。ちなみにイチョウなどの花粉は、ヒトの精子のように動く。スギやヒノキ、イネ科植物などの花粉は、季節性アレルギーの原因として有名。花粉症は、欧米では枯草熱(こそうねつ:hay fever)と呼ばれることもあるが、これはこの疾患が花粉に起因することが解明される以前の名残の呼称。

精子

ヒトの精子

オタマジャクシのような形状をしており、頭部の大部分を核が占めている。運動に必要な線毛を中心構造とする尾部、その2つをつなぐ頚部の3つの部位に大別できる。ヒトの精子の頭部は、楕円形西洋ナシに似た形をしており、長径はおよそ4~5マイクロメートル、短径はおよそ2.5~3.5マイクロメートル。人の場合、1回あたりの射精量は1~6ccで、これに6000万~1億個/ccの精子が含まれる。

白血球

血液に含まれる細胞成分の一つ。体内に侵入した微生物を取りこんで消化したり抗体を作ることで、体を感染から守る。普段は全身に分散しているが、感染を起こした部位や問題のある部位に一つでも到着すると、それが多数の白血球を呼び寄せる。無色・有核の細胞で大きく分けて顆粒球/単球/リンパ球という3つのタイプがあり、赤血球と比べると大きいが数ははるかに少ない。名前の由来は、白血球だけを多数集めると白く見えることから。

リンパ球

大リンパ球と小リンパ球がある球形細胞。末梢血白血球内のリンパ球はおよそ30パーセント前後しかないが、体内を流れるリンパ液はほとんどがリンパ球だ。風邪をひくと腫れるリンパ腺はこのリンパ液の通り道。リンパ球は以前に体内に入ってきた異物を覚えておき、特定の異物には素早くかつ活発に反応して身体を守る。水ぼうそうやはしかに一度かかると二度とはかからないのは、この免疫システムが機能しているため。

染色体

DNAとタンパク質などからなる遺伝物質の担体で、親(前世代)の特質を引き継ぐ(遺伝)情報を伝達する。生物種によって数や形状が決められている。ヒトの体細胞には1つの細胞核があり、そのなかに23対(46本)の染色体が入っている。1~22番目を「常染色体」、23番目のものは「性染色体」と呼ばれ、性別を決定づける。この性染色体の組み合わせがXとXの場合は女性に、XとYの場合は男性になる。英語名はギリシャ語で「色の着いた物体」を語源とする。

赤血球

赤血球は、血液の成分の一つ。その名は、酸素を運搬するタンパク質「ヘモグロビン(血色素)」を含むために、多数集まると赤色に見えることに由来する。つまり、血が赤く見えるのは赤血球が文字どおり赤いから。肺からエネルギーを作り出すために必要な酸素を体中に運び、替わりに毒になる二酸化炭素を肺まで運んでくる。正常な赤血球は扁平な円板状で中央部は薄くなっており、血液全体の40~50パーセントを占める。

乳酸菌

乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)やビフィズス菌など、糖を分解・発酵する際に乳酸を作る細菌の総称。その乳酸は、腸管内の消化や感染防止、腸内細菌のバランスを改善すると考えられ「善玉菌」として知られている。乳酸桿菌は、自然の至る所で生きることができ、人の口や胃腸の中にも存在する。乳酸桿菌には、ブルガリア菌などのように、チーズやヨーグルトなどの発酵食品や乳酸菌製剤に利用されているものも多い。

酵母

ワイン酵母

酵母の多くは、糖分を分解してアルコール発酵を行う。古くからこの性質を利用して酒の醸造が行われてきた。その中でも、ブドウ果汁からアルコールを作るものがワイン酵母。酵母の持つキャラクター(性質)がワイン造りに適しているおかげで独特の豊潤な味わいが生まれる。ワイン酵母の性質が良くなければ、どんなに良いブドウを使って丁寧に作っても、美味しいワインを造ることは難しい。

コラーゲン

I型コラーゲン

骨や歯、軟骨や椎間板、血管や皮膚、細胞などを構成するタンパク質の一種。素肌に潤いをもたらすなど、肌や髪の若返りへの期待から、健康食品や化粧品に添加されることが多い。哺乳類では全タンパク質の20~30パーセントを占め、軟骨や腱などを構成している。I型コラーゲンは繊維型コラーゲンで分子量はおよそ30万、長さおよそ300ナノメートルで細長い。コラーゲン繊維は隣同士が64ナノメートルごとに重なることで引っ張り合って強度を保つ。腱を構成するコラーゲン繊維は、ぴんと張った銅線に匹敵する強度を持つという。

大腸菌

健康な人や多くの恒温動物の大腸内には必ず居る細菌。幅はおよそ0.4~0.7マイクロメートル、長さはおよそ2~4マイクロメートル。ひとくちに大腸菌といってもさまざまな種類がある。たいていのものは腸内に留まっている限りは無害だが、ほかの臓器に入り込んだ場合は感染症などを起こすこともある。また毒性が高く、腸内に入っただけで下痢や腸炎などを起こす病原性の菌もいる。

単電子トランジスタ

電子1個の動きを制御するトランジスタ。電流のオン/オフ制御には、従来のトランジスタはおよそ10万個の電子を必要とするが、単電子トランジスタは1個だけで済む。1999年、単電子トランジスタを組み合わせたコンピュータの基本回路の試作にNTTが世界で初めて成功した。極めて小さなスペースに2個のトランジスタを隣接して作製し、中核部分でおよそ0.1×0.2マイクロメートル、電気的接続部分を含めてもおよそ1.5マイクロメートル角という超小型のインバータ回路を実現したという。

ミトコンドリア

細胞小器官の一つで、細菌と藍藻を除くすべての生物の細胞質内にある。独自のDNAを持ち、自己増殖する。呼吸およびエネルギー生成を担っており、「細胞の呼吸装置」と呼ばれることもあり、棒状や球状をしている。卵子と精子それぞれにミトコンドリアを持っているが、受精卵に引き継がれるのは、卵子に由来するもののみ。生物の祖先を追跡できるのは、ミトコンドリアが持つこの特性のおかげ。

インフルエンザウイルス

インフルエンザ(流行性感冒)を引き起こすウイルス。直径はおよそ80~120ナノメートル、球または管状で、A、B、Cの3型に大別される。A型がほぼ10年ごとに世界的な大流行を起こすのは、人間、トリ、ブタ、ウマなど種を越えて感染しウイルスの亜型が生まれるため。これに対してB型とC型は、人間しか発症しないため亜型が発生する心配はない。有効な原因療法はないが、肺炎などの合併症を起こさなければおよそ1週間程度で治る。

エイズウイルス

後天性免疫不全症候群(AIDS)の病因ウイルス。HIV-1とHIV-2の二種類あり、感染すると白血球の一種であるリンパ球が破壊され続ける。これにより、体の免疫システムが働かなくなり病原菌などに冒されやすくなってしまう。HIVは職場や学校、家庭での軽い接触はもちろん、ある程度なら密接な接触でも感染しないことは知られている。感染者の咳やくしゃみや、蚊などを介して感染したという報告事例も無く、感染経路や病因などへの正しい理解が求められている。

黄熱ウイルス

黄熱という名の由来は、人の肝臓などを侵し、黄疸を生じさせることから。この病気に関する記述は、17~18世紀ごろより見られる。当初、黄熱をもたらすものは、マイクロメートルの世界の住人である細菌と目されていた。1900年になると、細菌より微少なウイルスの存在が実験的に証明され、1937年にはワクチンが開発された。1950年代の電子顕微鏡の登場以来、実験の中での仮説でなく、ウイルスそのものを確認できるようになった。

半導体集積回路(LSI)

集積回路のテストパターンの断面

電子機器に搭載される半導体チップ。パソコン、携帯電話などのチップの集積回路の内、最先端のものは20ナノメートルレベルの配線が使われる。チップ上により多くの半導体素子を搭載することで性能は飛躍的に進化し、小型化するが、それには回路の高集積化のための微細加工技術が重要な役割を果たす。ニコンの半導体露光装置は、回路パターンが描画されたガラス製の原版に光を照射し、縮小投影・転写する装置で、半導体チップの製造工程の要を担っている。

タンパク質

筋肉や内臓などを構成する、生命の維持に欠かせない物質。英語名の「プロテイン」は、“第一の”“重要な”という意味のギリシャ語に由来する。タンパク質の構造が分かれば、それに対応した効果的な新薬の開発などが可能になる。また、タンパク質の性質は、指紋のように人間個人個人で微妙に異なるが、そこまで解明できれば、いわゆる“オーダーメイド医療”の実現も可能になるとされる。生命を構成し、その秘密を解き明かす鍵を握る物質といえる。
※ Referencing image source : © Protein data bank japan (PDBj) licensed under CC-BY-4.0 International

デンドリマー

分子と分子が中心核から枝分かれしながら結びついている、球状の構造を持った高分子化合物(分子量の大きい物質)の総称。ギリシャ語の「Dendron(樹木)」に由来する。1984年に発見された。分子の大きさや性質を簡単に変えられるので、患部に達するまで溶けない薬品や人工赤血球への転用など医療分野のほか、太陽電池やディスプレイ(スクリーン)といった電子・光学分野など幅広い分野への応用が期待されている。

ナノ粒子

金のナノ粒子

よく知られた物質でも、ナノサイズにすることで、自然に存在している場合とは異なる、新しい機能や性質を示すようになる。それらを総称してナノ粒子と呼ぶ。例えば、金属の金(Au)をナノサイズにした「金のナノ粒子」は、その直径によって、赤や黒など金色以外の色を発色するので、レーザー照射型カラーマーキングなどに用いることができる。また、紫外線を散乱させるナノ粒子が化粧品に使われるなど、応用できる分野は幅広い。

DNA(デオキシリボ核酸)

地球上のすべての生物の遺伝情報を決定する物質。二重らせん構造を持つことで有名だが、それにより自身の複製が可能となり、遺伝情報を伝えることができるようになった。アデニン、グアニン、シトシン、チミンという塩基で構成され、この4種の塩基の組み合わせにより、生物の外見や体質などが決定される。主要6カ国の合同研究チームは、およそ30億塩基の全配列決定に国際協力で取り組んでからほぼ15年後の2003年4月14日、ヒトゲノム(人間の全遺伝情報)の解読完了を宣言した。1953年4月のDNAの二重らせん構造の画期的な発見以来、50年後のことだった。

シリコン結晶

地球上の岩石中に最も多く含まれている物質であるケイ素(元素記号Si)の英語名がシリコン。パソコンや携帯電話、デジタルカメラといったハイテク製品の心臓部である半導体の材料の一種としても有名で、このような産業材に求められるシリコン結晶はおよそ99.99999999パーセントもの純度をもっている。もともとは単なる半導体の材料なのだが、「シリコンバレー」といった言葉で表されるように、ハイテクそのものを象徴する存在にもなっている。

カーボンナノチューブ

ネット状の炭素により形成される円筒形のチューブ。太さが1ナノメートルほど、長さはその数千倍程度。鋼鉄のおよそ20倍の強度、アルミニウムの半分の軽さをもち、繊維方向へは驚異的な引っ張り強度をもつ。この特性から宇宙と地上の物資輸送をも可能にするなど、技術革新の一つとして、今日注目されている。一定の条件下で2000℃もの熱に耐える耐熱性、熱を効率よく伝える性質など、多様な特徴のおかげでエネルギー問題の解決にも期待が寄せられている「夢の物質」。

フラーレン

炭素原子がサッカーボール状に結びついてできた分子で、非常に安定性が高く、黒鉛、ダイヤモンドに次ぐ「第3の炭素」と呼ばれる。発見者のクロトー博士らは、1996年にノーベル化学賞を受賞した。健康と美容の敵である人体内の活性酸素を消去する、エイズウイルスの増殖に必要な酵素の働きを止めるなど、医薬に関する分野での利用が期待されている。

アミノ酸

グルタミン酸

生命の維持に欠かせないタンパク質を構成する有機化合物で、500以上の種類がある。このうち、化学調味料の原料としても身近なグルタミン酸は、1866年にドイツのリットハウゼンによって、小麦に含まれるグルテンというタンパク質から加水分解で取り出されたことから命名された。非必須アミノ酸であり、神経伝達物質として記憶や学習にも重要な役割を果たしている。

原子

水素原子

原子は90種類(元素という)以上あるが、どれも元素ごとに、決まった大きさのプラスの電荷をもった原子核と、決まった数の電子によってできている。原子のうち最も簡単な構造を持つ水素原子(軽水素)は、陽子一個からなる原子核の周りを、一個の電子が周回している。1766年、イギリスの化学者・物理学者であるヘンリー・キャベンディシュが世界で初めて水素を発見した。その後フランス人の化学者・ラボアジエが、水からの水素発生を確認し、ギリシャ語の「水(Hydor)」と、「生む(Gennao)」を語源として「Hydrogen Atom」と命名した。原子(atom)の語源はギリシア語の「分割できないもの(atmos)」に由来する。

原子核

原子の中心に存在する。核子は水素原子(軽水素)では陽子一個のみ、そのほかの原子では陽子と中性子から成る。そのスケールは、原子核を直径およそ40ミリのゴルフボールに拡大した場合、原子はおよそ400メートルのゴルフ場1ホールに相当するほどの大きさになる。発電などに用いられる原子力エネルギーはウランやプルトニウムといった物質の原子核の分裂により生み出されることは有名。この原子核分裂という現象は、1938年、ドイツ人の物理学者オットー・ハーンによって発見され、1944年ノーベル化学賞を受賞した。

中性子

陽子とともに、原子核を構成する素粒子で、その質量は陽子よりごくわずか(0.14%)だけ重い。水素原子(軽水素)を唯一の例外として、ほとんどの原子の原子核は、陽子と中性子から構成される。微力の磁性を持つ。原子炉の起動時に必要になるなど核エネルギー関連で需要があるほか、中性子ビームを物質にあて、散乱された中性子を調べることで物質の性質を分析することも可能にする。タンパク質の解析など生命科学分野への応用や、先端科学製品の透視・診断など産業利用ができると考えられている。中性子は1932年にイギリスの物理学者ジェームズ・チャドウィックによって発見され、1935年ノーベル物理学賞を受賞した。

陽子

原子核を構成する素粒子。最も基本的な物質の構成要素であり、ギリシャ語で「最初の」という意味を持つ「Protos」にちなんで「プロトン(Proton)」と命名された。日本名は、正(プラス)の電荷を帯びていることに由来する。陽子のもつ正の電荷が、人体を構成する物質のなかの原子(電子)に力をおよぼすため、ビーム(陽子線)をがん細胞など人体内の病巣にあてて治療を行うなど、医療にも活用される。

  • ly光年宇宙の果て
  • kmキロメートル実感できる壮大
  • mメートル世界を測る単位
  • cmセンチメートル掌の領域
  • mmミリメートル肉眼の限界
  • μmマイクロメートル顕微鏡の小宇宙
  • nmナノメートル身近な極小世界
  • pmピコメートル秘めたる可能性
  • fmフェムトメートル大いなる原初

― 天文学における距離の単位。自由な空間を光が1年間に進む距離(約9兆4600億km)を表す。

私たちが見ている満天の星空は、生い立ちの違う星々が遠い昔に放った光の集合体だ。 おのおのの遠近にとらわれることもなく、百年前、何万年前に放たれた光を同時に見ることができる。

私たちは「不変かつ最速」な光の力を借りて、これらのランダムな星の配列を肉眼でつなぎ合わせ、そこに物語や関係性を与えながら楽しんでいる。 しかし、その距離や大きさについて実感し知覚することは困難だ。 なぜなら、あまりに宇宙は大きすぎる。光の速さ、と言われても容易に想像ができない。

「32km角の大きな部屋にある、1粒の砂」。 I.アシモフは、宇宙空間に点在する小宇宙の密度を、限りなく正確な数値のメタファーとしてこう表現した。 さまざまな学者たちが想像を膨らせて、長い年月を掛けて研究し、その存在を測ることえ定義してきたが、宇宙も成長や衰弱を繰り返しているため、明日には違う研究結果や新たな発見があるかもしれない。

「光年」という言葉には私たちがつくり出した物語や、学者たちのロマンが凝縮されている。

― 1000メートルのこと。キロはギリシア語で1000を意味する「Chilioi」から。

「単位」は、私たちの世界を再定義した。 ことに数値を伴う大きさや距離は、文化や経済などさまざまな社会活動の成果を評定し、往々にして権威や成功を象徴してきた側面もある。 「実測による正確な大きさ」の共通認識とは、「凄さ」を共有することでもある。

だからこそ私たちは、最高峰の征服や、世界一を競う巨大建造物、人類未踏のはるかな旅といったものを求めるのではないだろうか。 限界と優位性を競い合ってきた結果として、さまざまな科学技術の進展ももたらされたといえるだろう。 これらの実感を伴う大きさは、あこがれと驚嘆をかき立てる。

― 2億9979万2458分の1秒の間に光が真空中を進む長さを「1メートル」とした距離単位の基礎。

1875年、フランスで締結されたメートル条約は、国際的に共有可能、比較可能な「一量一単位」を規定した。 足の長さや指の間尺など、それまで肉体や身近な材料によって計測してきた単位、あるいは地域社会によって個別に確立されていた単位は、 地球という巨大な共有物から算出された数値によって、「国際社会の共有基準」として承認されることとなった。

統一された「正式な数値」の存在は、私たちの世界に新たな価値を与えた。 今日の私たちは、自分自身の知覚とこれらの数値を組み合わせることによって、世界のすべてを測り、実感しようとする。 実測された数値は、長大・高速な存在への畏敬とともに、小さくはかないものへの共感や慈しみの感情を促す。

「国際社会の共感基準」であるメートルは、世界の有象無象に存在を与え、この世界と、私たちの実践、想像の架け橋となっているのだ。

― 1/100メートルのこと。センチはラテン語で100を意味する「Centum」から。

私たちは、肉眼で捉えられる範囲の「小さきもの」に対し、だいたいにして不寛容である。 都市生活の日常においては、一部の愛玩生物を除き多くの虫や小動物は鬱陶しく、正体不明で、不愉快なものとして捉えているのではないだろうか。 益虫が害虫か、活用か排除か。 これほどまでに処遇がはっきりしている「領域」も珍しい。

それは、なぜか。 小ささは、私たちに慈しみや愛護の感情をもよおさせるが、同時に管理や支配欲求も刺激する。 「手中に収める」「掌握する」とはよくいったもので、そう大きくはないヒトが、掌で自在にコントロールできる世界に対して威勢をふるうのも、彼らの小ささゆえかもしれない。

近年「掌代の機能性」に私たちは魅了され、好奇心をくすぐられる機会が増えている。 軽薄短小かつ高い機能を備えたものへの執着と熱意は、管理支配欲求を表し、個人のスタイルを象徴するものといえるからであろう。

― 1/1000メートルのこと。ミリはラテン語で1000を意味する「mille」から。

ヒトの眼は、非常に緻密で精巧な能力を備えた感覚器官ではある。 しかし、ハエやハチといった一部の優れた「視覚」をもつ生物と違い、「見える」ために必要な条件、つまり光の波長の範囲が極めて限られている。

"ミリメートル"それは、私たちが肉眼で見ることのできる限界でもある。 ミリを最小単位として刻まれる定規、髪の毛やノミといった微細なものを境に知覚できなくなってゆく。 私たちはここから先を、違う世界と認識する。

産業革命時までは最も精密な計測・製作する単位として、ミリメートルが使われていた。 近年のコンピューターによる科学の進歩により完全に私たちはこの境界線を越えた。 その一方でまだ、人間にとって肉眼で測れるものこそが、いまだに最も信頼し、理解の範囲であると言える。

― 1/100万メートルのこと。マイクロはギリシア語で「小さい」を表す「mikros」から。

私たちヒトは、この自然界においてはまぎれもない一個の独立した個体である。 複雑なコミュニティーを形成し、多くの他の生命体とも相関をなしている。

私たちは自分自身をこうした世界の構成要素の最小単位だと思いこみがちだが、それも正確ではない。 私たちの身体は、細胞によって形作られており、さらにその細胞は幾千万もの細菌の集合体であり、その細胞ひとつひとつは遺伝子を搭載している。 つまり「私たち」自身は、細菌の共同体であり、宇宙と同じように誕生と滅亡を繰り返す小宇宙といえる。

体内では、今日もSFファンタジーさながらのドラマが展開されている。 外界からの侵入者たる細菌やウィルスと、それに抵抗する免疫物質の数々。 分裂・増殖を繰り返しながら生命を紡ぐ細胞と、道を外れて近親攻撃をはじめる異端の細胞といった「極小の意志ある細胞たち」が息づいている。

― 1/10億メートルのこと。ナノはギリシア語で「小人」を表す「nanos」から。

「ナノ」という言葉はいつも、夢のようなキャッチフレーズをともなう。 さまざまなテクノロジーの飛躍的な発展は「見える」世界を着実に拡げ、分子や原子レベルの超微細な物質世界へ私たちを招き入れてくれた。 極小の物質をさらに小さくすることも、それらを集めて思いのままの大きさやかたちの別のマテリアルに仕上げることも可能だ。

10億分の1メートルという想像を超える小ささ。 この大きさを何にたとえるべきか。 地球(1メートル):1円玉(1ナノメートル)はよく用いられるサンプルだ。 しかしあまりに非現実的な小ささは、簡単に実感することができない。

いまや私たちは顕微鏡と探針のおかげで原子の配列を自在に変える術を手に入れ、自在に操作し、制御し、生成することができるようになっている。 やがて量・質・色・形・・・あらゆる物質の概念は覆されるだろう。

すでに生活消耗品などにもナノメートル単位で開発された製品が入り込んできた。 これからどのように身近な製品たちに適応され、私たちと関わっていくのか注目が集まる。

― 1/1兆メートルのこと。ピコはイタリア語で「小さい」を表す「piccolo」から。

いまのところ、この単位世界はまだ私たちの日常においてリアリティーを持って受け入れられてはいない。 原子核の大きさとされるその大きさも、現実には「サブナノオーダー」という極小微細の領域に含まれてしまい、その機能や価値に具体的な個性が与えにくいという不運に見舞われている。 まさに「早すぎた可能性の申し子」という形容がふさわしい。

しかし、概念上にだけ存在する夢物語ではない。 理論の先行は、それが間違っていない限りは、やがて日進月歩のスピードによって相応のテクノロジーを実現させるはずだ。 そう遠くない将来、"21世紀の産業革命" "人類史を変える無限の可能性" という称号は、「ピコテク」にこそ与えられるに違いない。 その時私たちは、驚異的なそれらの技術力を、いったい何に活かすべきか。テクノロジーの進化は、私たち自身に、高い理知の精神と創造性を求めることだろう。

― 1/1000兆メートルのこと。フェムトは北欧語で「15」を表す「femten」から。

地球上に存在する元素の種類は、100以上。 このうちのわずかな種類によってこの世界の大半の物質が構成されている。 化学反応によってこれ以上簡単にはできないもの、と定義される元素も、原子核、中性子、陽子、電子といったさらなる要素によって構成される。 最近ではさらに小さい粒子、クォークの存在も報告されている。

残念ながらこれらの大きさ(重さ)は、実際には測ることはできないほどに小さい。 現在、最高度の顕微鏡を使用したとしても「見られる」最小限度はせいぜい原子まで。 それ以降に小さい粒子は、理論上はじき出された数値でしかないのだ。 極限に大きいとされる宇宙が、その全貌を見られないために永遠に存在を実感できないのと同じように、これらの極小の世界も決してすべてを「見る」ことはできない。
私たちは想像力を駆使して、その天文学的な「小ささ」に思いを馳せる。

小さい

大きい

極小の世界から宇宙の果てまで。
肉眼では見ることのできなかった、知ることのできなかった領域に、
ニコンは光を使った技術で関わっています。

GO

世界を構成する、森羅万象。
私たちは、それらに「大きさ」という単位を与え、誰もが理解できるようにした。

眼で見ることができるものを尺度にすることで存在を確認し、また新しい単位をつける。
それらを並べて比較することで、そのものの本当の姿を初めて正確に認識できる。

そう、私たちは「果てしない物差し」を手渡されている。

現在の技術ではまだ大きさの測れない領域がある。

原子核の周りを運動する、原子の構成要素である「電子」、
物質を構成する最小の単位と思われる素粒子「クォーク」が存在する領域。
これらの物質は、存在は確認されているが大きさは解明されていない。

さらには、物質の究極の要素は「粒子」ではなく10次元で構成される「ひも」であり、
ひもが振動するとき振動数の異なる波が生じ、
この1つ1つが素粒子に対応するという「超ひも理論」までもが考え出された。

もはやこの領域には、私たちの考える「大きさ」という概念自体が存在しない可能性もある。

しかし、何年か先に、私たちはこの領域の大きさについても知ることになるはずだ。
私たちの好奇心には終わりがなく、眼に見えない領域を身近なものにすることで、
さらに新しい発見をしてきたのだから。

人間の探究心は、さらに小さい世界の存在も明らかにしていくだろう。

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スケール位置を示すバーをクリック/タップすると、該当するスケールへ画面が移動します。マウスのホイールや、画面を左右にスワイプ(タッチデバイスの場合)でも移動することができます。

オブジェクトの詳細

見たいオブジェクトを選択し、クリック/タップすると大きさや説明をご覧いただけます。「スケールエピソード」ボタンが表示されている場合は、クリック/タップすることでスケールにまつわるエピソードをご覧いただけます。

オブジェクトの説明

オブジェクトもしくは下の白いバーをクリック/タップすることで、説明をご覧いただけます。

小さい / 大きい

選択したオブジェクトの左右には、それぞれに対比するオブジェクトが表示されます。「大きい」「小さい」ボタンのどちらかをクリック/タップすると、選択したオブジェクトに移動し、大きさや説明をご覧いただけます。

戻る

「戻る」ボタンをクリック/タップすれば、元の画面に戻ります。

単位の説明

単位の名前をクリック/タップすることで、単位に関するストーリー(説明)をご覧いただけます。

サウンドの操作

「サウンド」ボタンをクリック/タップするとサウンドのON/OFFができます。

Universcaleについて

Universcale(ユニバースケール)は、あらゆるものの大きさを一目で見るコンテンツです。極小世界から宇宙の果てまで、あなたはその大きさを感覚的にも把握していますか? Universcaleで、さまざまなものの大きさを実感してください。

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