ニッコールレンズ作業工程
一貫生産のもと、さらに高精度を目指す。
栃木ニコングループでは、レンズの研磨から、加工、組み立てまで一貫して行っております。一貫生産体制のため、レンズ加工、コーティング、組み立てなどの各工程で高精度の設備を導入。万全の体制で生産に臨み、安定した高精度・高品質を追求しています。
レンズ加工工程
研削
材料のガラスを所定の形状・表面粗さに研削します。
ガラスの表面付近にある微少な欠陥を取り除き、内部の良質な部分でレンズが作られます。
精研削
前工程で荒研削されたガラスを研削し、表面粗さと曲率を次工程(研磨工程)で加工出来る状態に高精度に加工します。
次の研磨工程でレンズを更に高精度に仕上げるために大切な工程です。
研磨
精研削されたガラスの表面を研磨し、所定の表面粗さ・曲率・厚さになるように更に高精度に仕上げます。
最高の光学性能が得られるように、注意深く加工が行われます。
コーティング
レンズの表面に薄い膜(ニコンスーパーインテグレーテッドコーティング)を蒸着します。
このコーティングを行うことにより、レンズの透過率の向上とゴースト・フレアーの軽減がされ、高コントラストで豊かな階調表現が可能になります。
部品加工工程
切削加工1
鏡筒には様々な形状の部品が使用されています。
各部品の形状・加工を行う箇所に合わせて様々な加工機を使用し、高精度に加工が行われています。
切削加工2
部品の形状・加工箇所に合わせて雇い(加工する部品を保持する工具)の設計・製作を行い、それを用いて部品加工が行われます。
また、加工に用いられる刃物も最適なものが選定・使用されています。
切削加工3
各加工工程で部品の精度がチェックされ、更に加工完了した時点で更に厳密な検査が行われます。
このようにして高精度に加工された部品は、使用箇所に合わせて最適な表面処理が行われます。
成型工程
成型1
各部品ごとに製作した金型に、高温の樹脂を高圧で注入して部品が成型されます。
成型2
成型された部品もチェックが行われ、使用箇所・目的に合わせた表面処理が行われます。
組み立て工程
組み立て1
高精度に加工された部品を組み立てます。
各部品を慎重に組み立て、各部作動のチェック・電気的なチェックを入念に行いながら作業が進められて行きます。
組み立て2
AF-Sレンズの心臓部SWMが組み込まれます。
SWMは、ニコンが独自に開発したAF駆動用の超音波モーターです。超高精度に加工された部品を使用しており、高速・静粛なオートフォーカス撮影が可能です。
組み立て3
SWMが慎重に組み込まれた後にピントリングが組み込まれ、作動チェックが入念に行われます。
AF-SレンズにはM/Aモード(AF撮影中にピントリングを回すと、瞬時にMF撮影に切り替えられる機能)が搭載されています。
組み立て4
AF撮影時のSWM駆動・制御を行うFPC(基板)が組み込まれます。モーター非内蔵タイプのAFレンズに比べ、様々な素子が実装されており、大きなFPCになっています。
組み立て5
慎重にFPCの組み込みが行われ、鏡筒がほぼ完成しました。
この後、熟練した作業者によってレンズが組み込まれます。
レンズが組み込まれた後、光学性能・各部作動の厳しいチェックと、コンピューターを用いたAF性能のチェックが行われます。
これらのチェックすべてに合格したものが商品として出荷されます。